最終更新 2013/03/11 12:00
さて、見えないガラスはどんな用途に使われているのだろう。まずはすでに実現している例をみてみよう。たとえば美術館。2012年には損保ジャパン東郷青児美術館や、大阪市立近代美術館(仮)心斎橋展示室での展示に採用された。
作品の保護ケースのみならず展示台に使うことも可能。2012年9月から12月にかけて開催された、平田晃久氏の海外初個展「Tangling」(The Architecture Foundation, London)で実際に採用された。台座を見えないガラスで構成すれば限りなく存在感を消して、台の上にあるものに視線を集中させることができる。
平田先生「見えないガラス」感想
「見えないガラス」をロンドンの個展で模型台に使うことができ本当に良かった。通常ガラスの台というと、緑の色や反射による物質感が良くも悪くも出てしまうのだが、見えないガラスの透明感のおかげで、展示スペースにそこはかとない新しさが漂うことになった。こういう、はっきりと気づかない人もいる微妙な、しかし本質的な違いを、とても重要に感じている。建築のコンセプト、という形ではなかなか語れないが、新鮮な驚きを持った体験を生むからだ。
さらに技術が進めば、ふわふわと作品が空間に浮かびあがるような効果も期待できる。
そして商業施設。既に採用されているのは宝石店「GINZA TANAKA 銀座本店」と、銀製品のお店「宮本商行 銀座本店」で、いずれも取り扱う商品は“キラキラしたもの”。強い光を当てたほうが映えるアイテムを陳列する際に、反射を抑えた見えないガラスを使えば、より美しさと高級感を引き立てることができる。
意外なところでは医療施設。手術室では医療モニターを、ガラスを隔てた向こう側の部屋に設置して、ガラス越しにモニターを見ながら手術を行うところもある。見えないガラスを使えば、ガラスが反射してモニターが見えにくいという課題を解決できる。
さてここからは、ガラスの寸法や強度の問題を度外視した我々の妄想である。たとえば動物園や水族館に使うと、迫力ある体験ができそうだ。
身近なアイテムを見えないガラスでつくるのも楽しそう。たとえばイスをこれでつくれば、空気イスに腰かけているような気分が味わえる。メガネなどファッションアイテムに採り入れるのも面白そうだ。
さらに飛行機や高層ビル、展望台の窓などに使用すれば、空中を旅するような体験が味わえそうだ。
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