建築テクノ図鑑

ぽむ企画(文・絵)

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最終更新 2013/03/11 12:00

第3回 「ガラスはもっと透明になる」

-日本電気硝子(株)・見えないガラス-

Page2. 反射防止処理の原理を詳しく見てみよう。


さて反射防止処理の原理を詳しく見てみよう。ポイントは薄膜(「はくまく」と読む)。ガラスよりも小さい屈折率を持つ薄膜を1枚重ね、厚さをうまく調整すると、一定の波長の光の反射を抑えることができる。

表面の反射R1と裏面の反射R2が干渉して打ち消し合うように厚さdを調整すると、R1+R2つまり反射が少なくなる。

実際の光は一つの波長だけではないので、いろんな波長の光の反射を打ち消すよう、屈折率と厚さの異なる膜を何層もうまく組み合わせて重ねる。

いろんな厚さ・屈折率の膜をうまい組み合わせで何層も重ねると、反射を極限まで抑えられる。

ガラスに薄膜をつけて反射を抑える技術自体には1世紀以上の昔からあるもの。だが、この見えないガラスがすごいのは、(1)ごくごく薄い膜を均一にきれいに重ねあわせ(2)丈夫な膜を実現したことだ。

(1)薄くて均一。厚さ8ナノメートルから100ナノメートルの薄膜を重ねる。
イラストは手を抜いていますが16層重なっています。

(2)丈夫。見えないガラスの反射防止膜は頑丈。市販のメガネの反射防止膜は塩水につけて煮ると
ぺろんとはがれてしまうものもあるが、見えないガラスの薄膜ははがれない。

 

薄膜をガラスにぴったりと重ねるためには「真空成膜装置」という装置を使う。見えないガラスの生産のために、日本電気硝子(株)はこの装置を特注。装置本体は、日本の、膜の原料を飛ばすシステムはヨーロッパとアメリカのメーカーによるもの。日欧米合作の特別な装置だという。

膜材を蒸発させてガラスに吹き付けるイメージ。均一にぴったり吹き付けるには、できるだけ真空に近づけて邪魔者を減らす。容器に電圧をかけ、できたプラズマが電極に引きつけられる勢いで膜材を飛ばす方法もある。


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