最終更新 2013/03/11 12:00
向こう側が透けて見えるという意味では、ガラスはたしかに透明だ。しかし反射によって映り込む部屋の電気の光や人の姿は、意外に気になるもの。ガラスをもっと透明にできれば、ガラスの製品やガラスを使った空間は、かなり変わるのではないだろうか……極限までガラスの透明性を追求したすごいガラスが誕生したと聞き、我々ぽむ企画は滋賀県大津市にある日本電気硝子株式会社本社にやってきた。
文・絵 ぽむ企画
日本電気硝子(株)はディスプレイ用ガラスを主力製品とする大手ガラスメーカーだ。そのディスプレイ用ガラスの生産で培った反射防止処理の技術を発展させて新たに開発したのが「見えないガラス」だ。
光の反射を極限まで抑えた「見えないガラス」は、びっくりするほど存在感を感じさせない。よほど近づいてじろじろ見ないと、ガラスがあることに気づかないほどだ。
開発がはじまったのは2008年頃。当初の動機は反射防止処理の技術や性能をとことん突き詰めてみたらどうなるだろうという「技術屋の趣味」のようなものだったという。
あくまでテレビや携帯電話の部品のつもりで開発していたため、美術品の展示に使われることなど想定もしていなかったそうだ。
ガラスの反射防止の処理は、ガラス表面にごく薄い膜を何層も重ねることで可能になる。この反射防止処理の技術自体は、ごく一般的なもの。メガネやカメラのレンズにも施されている。
普通のガラスの場合は、反射率4~5%。メガネやカメラのレンズの場合は3~7層程度の反射防止処理が施されており、反射率は0.5%程度だ。
「見えないガラス」の場合、反射防止膜は16層で反射率は0.08%。反射防止処理の技術や性能をとことん突き詰めた。
大きさも、開発当初は名刺サイズが限界だったが、現在は16層のもので80cm四方程度までのものがつくれるように。反射防止の性能がやや低いものなら、もっと大きなものもつくることができる。
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