建築テクノ図鑑

ぽむ企画(文・絵)

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最終更新 2015/06/30 10:07

第6回 「屋根の形を自由にする屋根用鋼板」

-JFE鋼板(株)・JFEエコラミ-

Page1. 雪下ろしをしても破れない防水材を求めて


こんな形の屋根、設計はしやすくなったけど……。

コンピューターを使えば、いろんなかたちの屋根がデザインできるようになった。しかし屋根防水はどうするのか?しっかり防水しながら複雑な形の屋根を実現できる、屋根用鋼板をつくっている会社があると聞いて、我々ぽむ企画は東京都品川区にある、JFE鋼板株式会社にやってきた。

文・絵 ぽむ企画

ゲートシティ大崎にあるオフィスには、
いろんな鋼板のサンプルが飾られている。

JFE鋼板株式会社本社は大崎駅直結のオフィスビル、ゲートシティ大崎にある。そのロビーはちょっとしたショールーム。屋根や壁用の鋼板、住宅用の鉄骨材などが並んでいる。

エコラミの構成。
合金メッキ鋼板の表側をTPOフィルムでラミネート、
裏側をポリエステル樹脂焼付塗装している。

さて、JFE鋼板株式会社が扱っているさまざまな材料の中から今回紹介するのは「エコラミ」という屋根材。合金メッキ鋼板の表側を、合成樹脂材「TPO」でできたフィルムでラミネート、裏側にポリエステル樹脂を焼付塗装した材料で、耐久性が高く、不燃。追従性、端部の防水性にもすぐれている。

エコラミは板金とシート防水の長所をあわせ持つ。

エコラミの「鋼板」部分は板金材、「TPOフィルム」部分はシート防水材に近い役割がある。不燃で丈夫、樋まで一体化できる、端部をおさめやすいといった板金の長所と、高い施工性や防水性といったシート防水材の長所をあわせ持つ素材だ。

防水の方法は、シート防水、アスファルト防水、塗膜防水の3種が主流。鋼材を使用するのは防水の方法としてはマイナーだ。なぜ屋根防水材として、鋼板をベースとするエコラミが開発されたのだろう。

北海道の屋根には、雪下ろしをしても
破れない防水材が求められた。

きっかけは、北海道にあった。課題は「無落雪屋根」の雪下ろし。元は鉄板で、板金の方法で葺いていたが、防水性がより高く施工が簡単なシート防水を利用することも増えてきた。ところがシート防水は、スコップで雪下ろしをする際に穴があきやすい。そこで約10年前エコラミを開発し、北海道限定で販売しはじめた。評判を受けて近年は、本州にも普及。無落雪屋根のみならず、さまざまな目的を持つ屋根に対応している。


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