第7回「関西建築家新人賞」受賞者発表
概要

JIA近畿支部による関西建築家新人賞は、近畿支部地域で活躍する45歳以下のJIA建築家に対し、設計活動に携わる意欲に満ちあふれた建築家の育成と発掘のために設置されています。今回はその7回目で21点の応募作品から書類審査で5点を選出し、現地審査を行った。審査は順調に行なわれ、魚谷繁礼氏、堀部直子氏の両氏の受賞が決まりました。

審査員

【審査委員長】 出江寛
【審査委員】 竹山聖 氏、宮本佳明 ※敬称略

主催

社団法人日本建築家協会近畿支部 建築賞分科会

■関西建築家新人賞
受賞作品 : 西都教会(京都市北区平野八丁柳町)
受賞者 : 魚谷 繁礼 氏/魚谷繁礼建築研究所
 
撮影:中村 海(2枚とも)


【審査講評】
外観にもし、十字架がなければその前を通り過ぎるであろう、実に普通の建築である。また、ロマネスクやゴシック風でもないのが良い。神学者、P.Tillich のことは知らないが、設計者が有限・無限の両極性を備えた「聖なる空虚」の現前を表現しようとした哲学が面白い。
ドイツの哲学者、M・ピカートの著「沈黙の世界」の中で「人間の本質は言葉であり、神の本質は沈黙である、キリストは沈黙の人であった」と記している。まさにこの空間は沈黙の空間であると思った。又、「沈黙」とは何の役にも立たなく経済活動もしないが、唯一人間の心を癒すものであるとしている。そして、平面計画的においても礼拝堂の3方を居室で囲み、外部からの音も遮断しているのが良い。1階の牧師住居部分アプローチの床仕上げが黒色の仕上げであり、玄関前の植え込みが黒竹であり双方共に沈黙を意味しているのも、デザインポリシーの統一性を感じた。

受賞作品 : はつが野の家(大阪府和泉市はつが野)
受賞者 : 堀部 直子 氏/堀部直子建築設計事務所
 
撮影:市川 かおり(2枚とも)


【審査講評】
この家は、クローバーの白い花がいっぱい咲いた土手の上にある、普通性の高まった遊び心のある家であり、家庭的な雰囲気が漂った家でもある。
玄関口には大きな青、黄の色鉛筆のベンチがドンと控えていて、思わずニコッとしてしまう。鉄板で出来た細長い表札には3つの穴があいており、メッセージや花、傘等をぶら下げたりするものらしい。
玄関は夏の西日を避けるため、全面壁である。通常、大棟は家の中央にあるものだが、7:3に振ったところが面白い。玄関を入ると、いきなり中庭に面しておりインテリアは明るく気持ち良い。この中庭を通してキッチンが中央にあり左に居間、右に食堂があり、それに続いてフリースペースがある。
そして夏の高温に対処するために、西面には納戸と風呂としているのがうまい。
2階に上がると、やはり西面はウォーキングクローゼットとしている。そして何より広く明るいバルコニーは洗濯物が外部から見えないよう、高い壁に囲われ、夏はパンツ1枚でサンデッキのアサガオでも見ながらビールを呑むのもいいだろう。
■最終選考の3作品
「風の教会」

「州見台の家」

「Dig In the Sky」