最終更新 2019/12/02 10:30
それまでアンビルト建築家であったダニエル・リベスキンドは、1980年代末に「ベルリン・ユダヤ博物館」コンペに勝利し、本格的な実作をつくり始めた。2003年にニューヨークに本社を移した彼は、グラウンド・ゼロの「ワールド・トレード・センター・コンペ」を制し、そのマスター・プランナーに選出された。以後彼は世界中で活躍し、アヴァンギャルドな作品を多数残してきた。今回ダニエル・リベスキンド初の南米作品が完成した。
ブラジルのサンパウロに完成した「ヴィトラ集合住宅」は、高さ77m、延床面積14,000㎡の高層集合住宅タワー。建物は光り輝くガラス・ファサードをもち、サンパウロのメイン大通りと、イビラプエラ公園 や ド・ポヴォ公園の近くにある。大胆で彫刻的なデザインは、ファサード全体にジオメトリック・パターンを形成し、内側のバルコニーに分節された多面的なガラス・ファサードが特徴だ。
リベスキンドによれば、このプロジェクトのコンセプトは、サンパウロ市やブラジルの文化にインスパイアーされたという。彼はこの国のオプティミズム、活気ある文化、そして真に多元主義的な国民のダイナミックな可能性に啓発されたようだ。建物は1階がエントランス・ロビー、中2階に図書館やその他のアメニティーがある。3階からアパートメントが14階分あり、その上に2層のペントハウスがある。
アパートメント階のバルコニーにはグリーン・ガーデンがある。各階1戸という豪華なアパートメントおよびメゾネット・タイプのペントハウスを内包する「ヴィトラ」は、サンパウロの集合住宅マーケットでは、もっともハイエンドなモデルとして知られている。「ヴィトラ」は1室あたり565㎡から1,145㎡の広さとなっている。
太陽光がたっぷり入るロビーには、フルハイトのブラジル産木製壁面の前に彫刻的なレセプション・デスクが配されている。インテリア・デザイナーのダド・カステロ。ブランコは、有名なリオデジャネイロのアーティストであるホセ・ベカラによる“ウルトラマール・インテルヴァーロ”をインテリアに使用している。建物のアメニティーは水泳プールをはじめ、スパ、ジム、多目的ラウンジ、子供用プレイルーム、図書館などがある。
当初からこのプロジェクトのデザイン的指針は、サステイナブル・デザインの採用であった。「ヴィトラ」に採用されたサステイナブルなソリューションには、雨水回収と再利用、ソーラー・パネル利用の水加熱システム、持続可能な材料の使用、エネルギー高効率低放射ガラスの採用、インテリジェント・ビル管理システム、工事廃棄物有効管理システムなどがある。
「ヴィトラ集合住宅」はコンドミニアムとしては斬新なコンセプトをもってあり、その彫刻的かつクリスタル的なフォルムは、サンパウロの新しいイコンを生み出したと言える。
(Portrait by Ilan Besor)
・Photos by Ana Mello except photo 4 by Romulo Fialdini
・Drawings by Studio Libeskind
・Sketch by Daniel Libeskind
Cookie(クッキー)
当社のウェブサイトは、利便性、品質維持・向上を目的に、Cookie を使用しております。詳しくはクッキー使用についてをご覧ください。
Cookie の利用に同意頂ける場合は、「同意する」ボタンを押してください。同意頂けない場合は、ブラウザを閉じて閲覧を中止してください。