最終更新 2019/10/31 10:00
今やヴェトナムの著名建築家、ヴォ・チョン・ギアといえば、バンブー・アーキテクチャーの名手として知られている。竹を材料にしてイベント・ホール、集会所、レストラン、バーなど、建築やその構造もデザインする。ところが特に近年は、竹の建築に並行して他の材料であるコンクリートやレンガ造の建築も増えてきた。「ヴィッテル・オフサイト・スタジオ」はコンクリート打ち放しで、ユニークなフォルムが話題の作品だ。
建物はハノイの郊外にあり、ハノイ中心部から30km、車で40分程度のところにある。敷地はなだらかな傾斜面にあり、静かで樹林が豊富に茂る湖畔に面している。建物は6棟のユニットからなり、それぞれレセプション・スペース、ダイニング・スペース、4つのスタジオで構成されている。
ヴィッテル社は社員27,000人を抱えるヴェトナムにおけるグローバル・コミュニケーション・グループである。同社はヴェトナムの大都市であるハノイ、ホーチミン市、ダナンなどを代表する会社で、IT企業のトップであるにも関わらず、オフライン・コミュニケーションを尊重している会社でもある。
「ヴィッテル・オフサイト・スタジオ」の会議用施設は、リーダーたちがブート・キャンピング会議をして、ディスカッションや意思決定をするために創設されたものである。場所は同社のエンジニアたちを教育するヴィッテル・アカデミー・キャンパスの一角にある。これらのスタジオは、同社のリーダーたちが多忙で騒がしい都会を離れて、短期間の仕事場として使用する場所でもある。
建物は自由にアレンジされたV字形壁面をもつ6個のブロックが、敷地のレイアウトに従って配置され、オープンな廊下で接続されている。これらのブロックは3角形のサーフェス・スペースを形成している。そのうち2面は閉じており、その反対側は湖や樹林に向けて開かれている。
壁面は本を開いたような形をしており、内部から自然に向けて開かれたようにデザインされている。オープンな側は直接周辺環境に面しているものの、それは人々をリラックスさせ、自然に浸し、集中させることができる。
スタジオ群は北側に開かれており、最もきれいなグリーンの景色を人々に提供している。V字形壁面は東西からの強く荒々しい太陽光をカットするために高くデザインされており、他方来訪者に対して表現豊かな外観ファサードを提示している。ルーフ・ガーデンはまたアウトサイド・スタジオとして機能する。壁面にうがたれた穴は柔らかな光と風をルーフ・スタジオへと流し込む。
(Portrait: no credit)
・Photos : ©VTN Architects , Hiroyuki Oki
・Drawings by VTN Architects
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