KENCHIKU世界/地域に根ざした建築家

らいおん建築事務所|今の時代に求められている仕事のあり方(2/2)

 

大阪、静岡、山口の地方再生プロジェクト *1

[ 大阪府泉佐野市/静岡県島田市/山口県下関市 ]

大阪府泉佐野市の関空の近くにある古い歴史的な街並みが残っているさの町場エリアの再生。市全体では人口増加していたが、かつてのまちに中心部に住む人が減っている。初期段階では、空き家の状況を実際にビジュアル化することが重要で、空家を実際にマップにプロットしたデータを地域の方達と共有して、どのスモールエリアを対象にどの空き家を動かしていくかを考える。嶋田さんの講演を聞いて、築200年の古民家を持っている方が取り壊すのをやめて40代を捧げてリノベーションをしたいと言われたり、地元の大きな不動産業の社長さんが、地主さんから相談を受けて老朽化した空家を購入したので、それを若い人たちに使ってもらえればという話もあった。行政の方達の理解と行動力があり、一緒に空き家を活用した事業を考えるワークショップを開催して再生する人と一緒に考えた結果、このエリアでゲストハウスを開業したいと思っていた若い女性が現れたり、いくつかのプロジェクトをになうチームができていき、現在3つほどのプロジェクトが進行中だそう。

静岡県島田市の本通りエリアは東海道沿いの古い宿場町で、街道に面して地割りが細長く、駅近くの区画整理をして道も整備された近代都市的街並みと対照的に入り組んだ細い路地のある特徴的なエリアだ。地方都市は空きビルになると駐車場や空き地になるのだが、路地状のような土地だと駐車場にするのも難しい。以前であれば区画整理をして、整形の敷地割りにして建物を建て、街の防災機能や衛生環境を高めるというのが都市計画の手法であったが、時間もお金もかかってしまう。そこで計画を見直して、今のまちの構造をそのまま活かして使い方を変えることで防災機能を高め、安全で歩きやすいまちにできないかと考えた。空き家をお母さんたちの働く場所に、車が入らない路地に面した空き地は子どもたち遊べるような広場にする、というようにまちの使い方をするのはどうかなど、アイディアと発想でこういうことをどうやれば実現できるかを行政の人たちと一緒に考えて行動している。ここでも例えば空き家を所有者から借り上げて広場的に使ったり、エリア再生のビジョンという全体像を作りながら、それを実現するための個別のプロジェクトを実行して動かしていく事を丁寧にやっている。

山口県下関市は始まったばかりで、まち歩きをして空き家のプロット図をつくったり、地域の人口動態を調査してビジュアル化している。フィールドワークを通して面白い場所を探してエリアごとにまとめている。まずは地域の実情を丁寧にリサーチをして、その後それぞれのエリアの将来像やコンセプトを考え、どのように変えていくか具体的なプロジェクトに落とし込んでいくことを進めている。

 

大阪府泉佐野市さの町場エリア再生プロデュース:
https://www.lion-kenchiku.co.jp/town/2801/
https://www.lion-kenchiku.co.jp/news/4143/
https://www.lion-kenchiku.co.jp/news/4168/
静岡県島田市エリアリノベーション:
https://www.lion-kenchiku.co.jp/town/2800/

 

日本郵便旧社宅リノベーション「POST-OMIYA」*2

[ 埼玉県さいたま市 ]

今は使用されていない職員宿舎は、立地は良いが接道条件が悪く、大きな開発が難しい。木造住宅地の中にあることから防災上懸念もある。駅からの距離を考えてもリノベーションし民間の賃貸住宅のようにな市場性があると思い、あきやカンパニーとルーヴィスと連携して5〜10年間の暫定利用を提案したそうだ。1〜3階はライフスタイルに合わせたワンルームにリフォームして、4階はDIYできる部屋にして賃貸に。現在は工事も終了し入居者を募集中だそうだ。ここでも目白のマンションのようにDIYできる部屋を設けており、今のライフスタイルに合う提案を取り入れている。

 

POST-OMIYA:壁式鉄筋コンクリート造、地上4階/敷地面積 5827.45㎡/延床面積 1207㎡
写真:中村晃
https://www.lion-kenchiku.co.jp/news/3938/

 

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