レポート

ミラノデザインウィーク2019 レポート

文・写真(明記以外):柴田直美

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「ミラノサローネ国際家具見本市2019(SALONE DEL MOBILE.MILANO 2019)」(通称:ミラノサローネ)が 4月10日~14日まで開催された。
(2015年のレポートは こちら 、2016年のレポートは こちら

ミラノ中央駅エリア

2010年からランブラーテ駅周辺で展開していたVentura が、昨年からより市街地に近いミラノ中央駅の高架下を中心したエリアに移動して来たVentura Cantrale。6日間に68,000人が訪れた。以前はダンスクラブだったところもある高架下のヴォールト天井のスペースは、薄暗くひんやりとしており、世界観を表現するには向いている空間。今年はDNP、AGC、YAMAHAといった日本の企業や、TAKT PROJECTの個展が開催された。また、マーテン・バースが(ミラノデザインウィーク中にデザイン関係者が夜な夜な集まるBar Bassoをもじった)Bar BaasをRistorante Dinky内に開店した。

 

Tortona エリア

VENTURAが中央駅以外にもう一つ拠点を展開したのが、トルトーナ地区のBASE Milano。VENTURA FUTUREというタイトルでfutureとlearningをキーワードとして、若手のデザイナーたちやアカデミーが環境問題に取り組むサステイナブルなデザインプロダクトやアイディアを所狭しと展示。

トルトーナ地区ではミラノデザインウィーク初出展となるUNIONや昨年、Best Playfulness 2018賞を受賞し、評判を呼んだSonyが出展。トルトーナ地区の中核であるSuperstudio Piuに、日本の企業ではLEXUS、INAX、住友林業、小泉製作所が出展。Superstudio Piuには80,000人(2,200人を超えるプレス関係者)が訪れた。

 

Brera地区/Garibaldi地区/ドゥオモ周辺地区

例年、トルトーナ地区に出展していたmoooiや昨年は出展していなかったトム・ディクソンなどの大御所デザイナーたちが集まってきたブレラ地区。ミラノ旧市街地の歴史ある街中で、建物が持つ空間性を活かした展示が多く見られた。

 

ミラノ大学

市内あちこちで開催されているHUMAN SPACESと名付けられたプロジェクトのメイン会場であったミラノ大学。中庭や通路にさまざまな大掛かりなインスタレーションが並ぶ。

 

Rossana Orlandiギャラリーとレオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館

2018年からGuiltlessPlasticという、プラスチックの形を変えて、可能性と将来性がある素材として考えることに挑戦するプロジェクトを始動させ、第1回「Ro Plastic Prize」を企画したロッサーナ・オルランディ。世界50カ国以上、300にも上るプロポーザルが寄せられ、受賞者の提案はミラノデザインウィーク中、Rossana Orlandiギャラリーで展示された。またすでに名の知れたデザイナーたちによる提案、RO PLASTIC-MASTER’S PIECES はレオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館で展示された。

 

Alcova

昨年から会場になったALCOVAは、ミラノの伝統菓子パネットーネの工場跡地。屋根が崩れ落ち、残った小屋組がそのままになっている、荒削りな雰囲気の場所に29組が出展。今年は徒歩数分の場所にサテライト会場Alcova Sassetti(1930年代に建てられた元・カシミア糸紡ぎ工場)も追加され、オランダを拠点に活動するイタリア人デザイナーデュオFormafantasmaが展示していた。

 

Design Academy Eindhoven

2018年に始動したGEO-DESIGNは社会的・地域的・地政学的な情勢がデザインにどう影響しているかを探るプラットフォーム。GEO-DESIGN: ALIBABA – From Here to Your Homeは2018年のダッチデザインウィークの期間に発表された。9人のDesign Academy Eindhoven卒業生がAlibabaの運営モデルとデザイン業界へのインパクトをリサーチ。キュレーターは2017年からDesign Academy EindhovenのクリエイティブディレクターのJoseph Grima。

 

今年のミラノデザインウィークを通して、プラスチックゴミの再生や環境に負荷がかからない新しいマテリアルの開発、社会問題への取り組みなどが、以前よりかなり増したという印象。環境問題に取り組んでいない提案を探すのが難しいくらいであった。数年前から大学やアカデミーが取り組んでいたこれらの課題が、デザイン業界全体でさらに共有されつつあると感じた。加えて、トム・ディクソンやMoooiなどの革新的なデザインで知られていたデザイナーたちがサステイナブルな素材研究に取り組みの成果が発表されていることは、後続の若手デザイナーたちにも影響を与えるだろう。

 

番外編

Tadao Ando Exhibition ‘The Challenge’ Armani/Silos

Armani Teatro の向かいにArmani/Silosという新たな展示スペースが完成。7月28日まで安藤忠雄展が開催中。

 

トリエンナーレ美術館

2019年3月1日から9月1日まで開催されている第22回ミラノ・トリエンナーレのテーマは「Broken Nature」。「Design Takes on Human Survival(デザインが人類の生き残りを担う)」というサブタイトルがつけられた展覧会がトリエンナーレ美術館で開催されている。キュレーターはPaola Antonelli(ニューヨーク近代美術館R&D部門ディレクター兼建築・デザイン部門シニア・キュレーター)。