建築の境界のその先へ意識を向ける事で実際の空間以上の豊かさを得ると共に、場所を取り巻く環境と、地域の言語から建築を考え、景観に寄与する建築を試行した。
借景庭園での体験を建築化し、隣家と余白を共有する配置で周辺環境へ配慮。中庭と室内が太極図のように噛み合う湾曲した平面が内外双方向へと奥行をつくる。放射状の垂木は、水平方向に拡がる奥行と、垂直方向の無限遠のような一点へと集束し、建築や土地の境界を横断しながら外の世界へと感覚を拡げる。
地域産業から着想を得た構造即意匠となる美しい工芸的架構を街に開き、住人と地域社会が自然と緩やかにつながる。街並みに応答し、風景が変わり続けることを緩やかに受け止め、環境とともに建築がつくる境界について考えた住宅である。
■建築概要
所在地：福岡県
主要用途：専用住宅
家族構成：夫婦
意匠設計・監理：and to 建築設計事務所 谷口幸平
構造設計・監理：山田憲明構造設計事務所 山田憲明
施工：有澤建設
構造・工法：鉄筋コンクリート造＋木造
基礎：べた基礎
階数：地上3階
敷地面積：190.69㎡
建築面積：112.60㎡
延べ床面積：274.22㎡
竣工年：2023年
写真：Koji Fujii（TOREAL）
谷口 幸平 / Kohei Taniguchi
■経歴
- 1985
- 滋賀県生まれ
- 2009
- 近畿大学理工学部建築学科卒業
同年京都工芸繊維大学大学院木村・
松隈研究室研究生 - 2010-2019
- NAP 建築設計事務所
設計部長、ディレクターを歴任 - 2019
- and to 建築設計事務所を設立
and to 建築設計事務所
https://andto.jp/
