緑や起伏に富む国分寺崖線の上に建ち地域医療連携機能も担う診療施設である。
景勝地や保養の場として文化や緑量を重ねた玉川八景で、緑を建築に引き入れ景観を繋ぎ止める事を目指した。都内で二番目に緑化率が高い世田谷区でも特に緑量が多く、多様な植生と生態系を受け入れる“柔らかさや医療機器が要求する放射線区画の“堅牢さ”が要請された。線路による振動や磁場の影響から北側の離隔を確保した為、前面に背を向けた構成となった。242本のテラコッタが粒子状に浮かび、時間でうつろう陰影による周辺景観との呼応を目指した。
近年の健康増進や健康維持への意識の高まりで、未病でも精細な健康管理が可能だが検査には精神・身体的な負荷が伴う。検査後安静で快適にリカバリー出来る空間や自然を眺め寛ぐラウンジは類似施設との差別化を生む。中間領域であるテラスの存在が、医療施設が潜在的に持つ空間の閉塞性を解放し都市型医療施設の新たなかたちとなる。
■建築概要
建築場所:東京都世田谷区上野毛
用途:診療所・医療施設
構造:RC造/地下1階地上3階
延床面積:1588.73㎡
写真:小川重雄
施工:株式会社ナカノフドー建設
ファサードエンジニアリング:旭硝子ビルウォール
(一部内装デザイン・什器:高島屋スペースクリエイツ)

■経歴
伊原 慶
- 1981
- 東京都生まれ
- 2006
- 早稲田大学大学院建築学専攻 修士課程修了
- 2006-2013
- 大成建設株式会社
- 2014
- TA+A設立 代表取締役
- 2025-
- 昭和女子大学環境デザイン学科 専任講師
TA+A(株式会社東京アーキテクツアンドアソシエイツ)
https://www.tokyoarchitects.com/
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-31-7 ビラ・グロリア 601