Tumbling Roof House
表は林のような公園で裏は川という敷地の築約40年の木造2階建て住宅のリノベーションである。
地下物置とロフトがある住宅だったので、地階からロフトまでの4層分を開放し、内部空間を林側と川側とに2分割する斜めの耐力壁を構想した。
林側は迫るような斜めの壁によって仄暗い篭るような空間で、個人が集中して作業を行う場所とした。
川側は上に広がる斜めの壁と東面からの自然光により上昇感のある明るい空間で、家族が集まる場所となっている。
川側と林側の1階と2階と地下とロフト、それぞれの床レベルを少しずつ変え、
また斜めの壁から微妙に距離をとっている。
床同士は平面方向と断面方向にズレて、ささやかな隙間をつくりだしている。
立体的に配した空間をつなげ、それぞれの明るさや仄暗さを隣接する空間に染み出ている。
それぞれの床を、螺旋をえがくようにして上下し、斜めの壁を境に行き来することで、
空間のボリューム、光と陰の変化を体験することができる。
いくつもの小さな空間の集合を楽しむ住宅である。
■建築概要
敷地:京都府京都市
用途:住宅
設計:多田正治アトリエ+ENDO SHOJIRO DESIGN
構造アドバイス:門藤芳樹構造設計事務所
施工:ふじさき組
構造:木造
竣工:2020年12月
撮影:松村康平

■経歴
多田正治
- 1976
- 京都市生まれ
- 2000
- 大阪大学工学部建築工学科卒業
- 2002
- 同大学大学院 工学研究科建築工学専攻修士課程修了
- 2006
- 多田正治アトリエ開設
- 2002-2009
- 坂本昭・設計工房 CASA
- 2023
- 大阪大学大学院 工学研究科建築工学専攻博士課程修了
- 2011-
- 近畿大学建築学部非常勤講師
- 2024-
- 武庫川女子大学准教授
■受賞
- 2017
- 京都建築賞 奨励賞
- 2019
- LOCAL REPUBLIC AWARD 審査員特別賞(陣内秀信賞)
- 2020
- 建築コンクール 2020 LOCAL REPUBLIC AWARD 佳作
- 2021
- IDA design award Silver prize

■経歴
遠藤正二郎
- 1980
- 神戸市生まれ
- 2003
- 京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業
- 2005
- 同大学大学院工芸科学研究科造形工学専攻修士課程修了 2009 ENDO SHOJIRO DESIGN 開設
- 2014-
- 産業技術短期大学ものづくり創造工学科非常勤講師
■受賞
- 2007
- グッドデザイン賞(建築・環境デザイン部門) 2009 グッドデザイン賞(社会領域部門)
- 2010
- キッズデザイン賞(フィーチャープロダクツ部門) 2017 京都建築賞 奨励賞
- 2017
- OMOTENASHI Selection 金賞
多田正治アトリエ:
http://www.td-ms.com/
ENDO SHOJIRO DESIGN:
https://www.endo-design.jp/