9層の床をもつ“塔”と、半屋内的な“東屋”。
2棟でひとつの住宅である。
住宅の機能を担う棟は、建坪四畳半の“塔”。
置くべき家具はすべて建築に埋め込んで効率的に凝縮し、段差は動線であり家具でもある状態とした。
空間を組み立てるというよりはむしろ、家具を積み重ねてそれをよじ登って生活するような構成。
また、フットプリントをできるだけ小さくして敷地の外部をなるべく多く残すことで、単に生活を内部で完結させるのではなく、外部へも暮らしのアクティビティがひろがっていくことを目指した。
外に出ることで近所との交流の機会も多くなる。
一方、“東屋”は、機能から削ぎ落とした余白の部分で、この住宅の面積の約7割がこの棟にある。
簡素で半屋外的に過ごせる居場所とした。
大らかな開放性を備えた、街や森との関係を取りもつ余白空間である。
ふたつの棟は、それぞれまったく異なる性質をもちながら、ひとつの家として相互に補完しあう。
■建築概要
設計:渡部光樹+渡部梨華/W
構造設計:円酒構造設計
施工:茂木建設株式会社
敷地面積:246.95㎡
延床面積:75.00㎡(塔:22.01㎡、東屋:52.99㎡)
1階:61.10㎡(塔:8.11㎡、東屋:52.99㎡)
2階:6.45㎡
3階:7.45㎡
家族構成:夫婦+子供1人
所在地:秋田県秋田市
用途地域:市街化調整区域
構造:木造
竣工年月:2021年10月
写真:Yurika Kono
■経歴
渡部光樹(わたなべこうき)
- 1979
- 秋田県生まれ
- 1998-2002
- 千葉大学工学部デザイン工学科
デザイン系 - 2002-2006
- デザイン活動
- 2005-2007
- 秋田建築専門学校
- 2007-2013
- 加藤一成建築設計事務所
- 2014-
- 渡部光樹建築設計事務所設立
- 2021
- W設立
■経歴
渡部梨華(わたなべりか)
- 1983
- 秋田県生まれ
- 2014-
- 渡部光樹建築設計事務所
- 2017-2019
- 武蔵野美術大学大学院小泉誠研究室
- 2021
- W設立
W
HP:https://www.w-architects.jp
Instagram:https://www.instagram.com/w_kenchiku/