- 内装は建築か? -
幅3mの新築狭小ビルにシーシャカフェ&バーを設計した。
スケルトンで渡されるテナントは下地を組んだ上から内装材で仕上げると手狭になってしまう。一般的には仕上げられてしまうビルのスケルトンと什器、天井、家具を調律し、スケルトンの素地や挿入した素材、それらの仕上げが同居することでビル外装の裏側を建築として統合する試みである。
2フロアあるうちの一つはシーシャと向き合うU字型のカウンターを設け、もう一方はグループでの来店を迎え入れるソファベンチと植栽のランドスケープとする構成とした。
「煙を魅せること」は光を反射する下り天井のシルバー塗装によって煙を浮かび上がらせる。一方で背景となる壁、床は色味を抑える。「煙を出すこと」はシーシャ店特有の換気不足により酸欠を起こしてしまう課題に対して、換気扇へ導く気流を促すフードの役割を担う天井構造が担う。
2枚の大きな曲面天井はレベルを変えてスリットを設け、そのスリットに煙は取り込まれる。煙の流れを制御することで、換気性能を最大化するだけでなく、煙の動きを嗜むことができるデザインとした。煙がどのように際立つか。シーシャでは煙が主役であり、それを包む内部空間が舞台として振る舞うことで初めて建築化されるのである。
【文:林恭正+横尾周】
■建築概要
設計:林恭正+横尾周+小島慎平
施主:株式会社fumu
総合監修:林恭正
VI・サインデザイン:MiKS inc.(吉崎努)
施工:株式会社ルーヴィス (担当:平井聡吾+牧戸啓)
写真撮影:吉崎努
所在地:横浜 日吉
用途:シーシャカフェ&バー
延べ床面積:50㎡ (2フロア合計)
構造:内装設計
■経歴
林 恭正 | Yasumasa HAYASHI
ArchTank 代表, アーキテクト
- 1994
- 広島県東広島市生まれ
- 2017
- 新潟大学工学部 建築学科 卒業
- 2018
- ドレスデン工科大学(ドイツ)
特別派遣研究生 - 2019
- 新潟大学 自然科学研究科 環境科学専攻
社会基盤•建築学コース 博士前期課程 修了 - 2019
- 横浜の設計事務所 tomito architecture
参画 - 2020-2023
- 同上 チーフアーキテクト
- 2023
- 福祉と建築 副代表
- 2023
- 株式会社ArchTank 代表取締役CEO
■経歴
横尾 周 | Shu YOKOO
- 1992
- 神奈川県横浜市生まれ
- 2016
- 慶應義塾大学総合政策学部 卒業
- 2019
- 横浜国立大学大学院
都市イノベーション学府 ‘Y-GSA’ 卒業 - 2019-2023
- 建築設計事務所 入社
- 2023
- ArchTank 参画
- 2024
- 横尾建築 代表
■経歴
小島 慎平 | Shinpei KOJIMA
- 1994
- 東京都江東区生まれ
- 2013
- 東京都立青山高等学校 卒業
- 2017
- 東北大学工学部建築・社会環境工学科 卒業
- 2018
- パリ・ラヴィレット国立建築大学 交換留学
- 2020
- 東京大学大学院 新領域創成科学研究科
社会文化環境学専攻 修了 - 2023
- 金箱構造設計事務所
- 2023
- 東京大学大学院 佐藤淳研究室
学術専門職員 - 2023
- ArchTank 参画
ArchTank
代表:林 恭正 | Yasumasa HAYASHI
Web:http://archtank.info
Instagram:https://www.instagram.com/arch.tank/