都心部の広い公園に面した場所に建つ、集合住宅の一室の改修である。
この場所の特徴である、眼下に広がる公園や都市の風景を庭のように取り込みながら、小さな居場所の連なりをいかにしてつくれるかを考えた。
60㎡程の中に、LDK・寝室・夫婦それぞれのワークスペースを設けたいと要望があった。
そして、公園に面していることの開放感を感じられるように、収納棚を組み込んだ腰壁で領域を仕切り、閉じる必要がある場所には障子や框戸を設けている。
また、南面の掃き出し窓に面して障子を設けており、閉じたときには落ち着いた室内環境を楽しめるようにしている。
これらの障子は、框と桟の寸法を統一した「吉村障子」の写しである。寝室とリビングの間は、荒組の両面組子として表裏が出来ないようにした。
公園上の開放感と障子を閉じたときの静かな安堵感を、自在に選びとれる家になっている。
■建築概要
設計:Camp Design inc. 担当/藤田雄介・寺澤宏亮
施工:KITI 担当/澤田大悟
構造:SRC造
階数:地上14階建ての9階
延床面積:60.61㎡
建物竣工:1973年1月
設計:2023年1月~2023年6月
工事:2023年7月~2023年12月
写真:長谷川健太
■建築家
藤田雄介 (Yusuke Fujita)
■経歴
- 1981
- 兵庫県生まれ
- 2005
- 日本大学生産工学部建築工学科 卒業
- 2007
- 東京都市大学大学院工学研究科 修了
- 2008
- 手塚建築研究所勤務
- 2010
- Camp Design inc. 設立(16年法人化)
- 2015
- 明治大学兼任講師(~19年)
- 2017-
- 東京電機大学非常勤講師
- 2018-
- 工学院大学非常勤講師
- 2020-
- 東京都市大学非常勤講師
- 2024-
- 日本大学生産工学部非常勤講師
Camp Design:https://camp-archi.com
戸戸:https://koto.tools