福井市にある、半世紀前に山を削り雛壇造成された古い住宅地に建つ住宅である。福井の気候は、冬季の雨と雪が多く日照率が低く暗い。建主の若い夫婦は、斜面地に魅力を感じ土地を購入し、明るく開放的な住まいと屋根付きの駐車場を求めた。この計画では多雪地域において、開放的な住空間と斜面地の潜在的なポテンシャルを引き出し、成熟した団地の価値を改めて示したいと考えた。
敷地までは正面の山の緑を見ながら坂道を登っていく。また造成された敷地内の南端に立つと、四方を囲む住宅の隙間から登ってきた坂道の先に色褪せ落ち着いた街並みと山並みが見える。そこで敷地内でもその体験を取り込み、半階分ずれた段差によって生まれた5つのスペースを登っていく構成とした。各スペースには周辺の空所に向かい開口を設けその先の自然環境と接続する。斜面地と呼応する構成と架構によって、この場所の固有性から生まれる豊かな住空間を目指した。
■建築概要
所在地:福井県福井市
主要用途:専用住宅
設計:水上哲也建築設計事務所
構造:KAP
施工:水上建設
主要構造:木造一部鉄筋コンクリート造
階数:地下1階 地上2階
敷地面積:221.37㎡
建築面積:103.09㎡
延床面積:171.23㎡
竣工年月日:2023年3月
写真:鈴木研一
■経歴
水上哲也
- 1981
- 福井県生まれ
- 2003
- 東洋大学工学部建築学科卒業
- 2004-2006
- ワークステーション
- 2009-2013
- マウントフジアーキテクツスタジオ
- 2013
- 水上哲也建築設計事務所 設立
- 2014-
- 東洋大学人間環境デザイン学科 非常勤講師
- 2015-
- 武蔵野美術大学建築学科 非常勤講師
- 2023-
- 東洋大学建築学科 非常勤講師
水上哲也建築設計事務所
https://tetsuyamizukami.com/