目黒区青葉台、通称「裏ナカメ」。駅からのアクセスが悪いにも関わらず“わざわざ”人々が訪れる、そんな人気エリアに建つテナントビルである。
このエリアのヒューマンスケールを生み出している厳しい高さ制限に対しては、建物高さを抑えつつ階高が低いフロアには逆梁を用いて開放感がある内部空間とした。また、基準階を設けて容積率を消化することは容易だったが、単純な基準階の積み重ねでは一般的に階によってその価値が変わってしまうため、あえて基準階を設けずに、地下1階~地上3階の全ての部屋に対して平面プランや階段でそれぞれ部屋の特徴を持たせた。つまり、“わざわざ”その部屋を借りたい、と思えるビルだ。
“わざわざ”とは“特別な想いがある”ということである。人々が特別な想いで訪れる場所に特別な想いでそれぞれのお店を開くことができるテナントビル、たとえばそれは特別な想いで自由に絵を描けるカンバスのようなテナントビルである。
■建築概要
所在地:東京都目黒区青葉台
竣工:2016年12月
用途:テナントビル
構造・規模:RC造・地下1階/地上3階
建築面積:54.32㎡
延べ面積:175.49㎡
設計監理:勝岳史/GKAD勝岳史建築設計事務所
井上明日香/アトリエイノウエ
構造設計:河合一成/河合構造設計
設備設計:環境プランナー
施工:株式会社 辰
撮影:日暮雄一/日暮写真事務所
■経歴
勝 岳史/Gakushi Katsu
- 1968
- 北海道札幌市生まれ、札幌育ち
- 1992
- 武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部建築学科
- 1992
- レーモンド設計事務所
- 2004
- 勝岳史建築設計事務所 創業
- 2005
- 有限会社勝岳史建築設計事務所 設立
GKAD 勝岳史建築設計事務所
https://www.katsu-architect.com/