- 対話としての住まい -
瀬戸内海沿いの東広島市安芸津町。酒蔵や牡蠣の養殖、造船業などの豊かな産業風景のある安芸津の小さな商店街にある「安芸津歳實コーヒー」は、西日本豪雨により浸水被害を受けて改修した店舗兼住宅である。本計画の平面構成では、焙煎工房を道に沿って広げ、生豆・焙煎豆・梱包の流れをつなぐ豆棚や焙煎機などのコーヒー豆の製造工程を可視化した。そして、職・住に挟まれた場を内なる公共性を孕む“インナーコモンズ”と定義した。生活と生業に挟まれたインナーコモンズは、客間、書斎、厨房を持つ住宅機能としながらも、喫茶やイベントにも使えるような両義的な空間とした。
人がどう生きたいか。予期せぬ災害をどう受け止めるか。家は、そういった対話の中にあるように思う。家族構成や地域構造の変化に伴い、揺れ動く住まいと生業の境界面。その境界に厚みを持たせる事で住まい手の日常を多層化し、それらと田舎町の風景が共に背景であれる状態を目指した。
■建築概要
所在地:広島県東広島市安芸津町三津3572-1
主要用途:店舗+住宅
設計:ArchTank 林恭正+熊谷和+中津川銀司
施工:株式会社リープ(担当:井上)
家具:冨山祐樹 Tommy Furniture Studio
施主:安芸津歳實コーヒー
構造:木造2階建
延床面積:68㎡(改修範囲)
竣工年月:2019年3月
写真:吉崎努(MiKS inc.)
■経歴
林 恭正 | Yasumasa HAYASHI
- 1994
- 広島県東広島市生まれ
- 2017
- 新潟大学工学部 建築学科 卒業
- 2018
- ドレスデン工科大学特別派遣研究生
- 2019
- 新潟大学自然科学研究科環境科学専攻社会基盤・建築学コース 博士前期課程 修了
- 2019
- 横浜の設計事務所 tomito architecture
参画 - 2020-2023
- 同上 チーフアーキテクト
- 2023
- 福祉と建築 監修
- 2023
- ArchTank 設立
■経歴
熊谷 和 | Nagi KUMAGAI
- 1994
- 広島県呉市生まれ
- 2017
- 九州大学工学部 建築学科 卒業
- 2018
- アアルト大学(フィンランド)アート・デザイン・建築学部 ウッドプログラム 修了
- 2020
- 九州大学大学院 人間環境学府 空間システム専攻 修了
都内のアトリエ系建築設計事務所 入社 - 2023
- ArchTank 参画
■経歴
中津川 銀司 | Ginji NAKATSUGAWA
- 1994
- 新潟県新潟市生まれ
- 2017
- 新潟大学工学部 建築学科 卒業
- 2019
- 新潟大学自然科学研究科環境科学専攻社会基盤・建築学コース 博士前期課程 修了
- 2020
- 日本設計 設計部 入社
ArchTank
代表:林 恭正 | Yasumasa HAYASHI
Web:http://archtank.info
Instagram:https://www.instagram.com/arch.tank/