德淨寺の2期工事の計画である。境内でお寺が幼稚園を運営していたが、数年前に廃校となっていた。本計画ではこの築49年の幼稚園の耐震補強工事を行い、納骨堂へ用途変更を行った。
しかし納骨堂という用途のため、一般的な用途変更と比較すると所轄行政との協議は長期間を要した。建物を解体して新築する方が容易ではあったが、バトンをつないでゆけるような場所にしたい、というご住職の強い意志を尊重し、用途変更として建築を蘇らせた。
耐震性能の向上のため軽量化を求められた2階の納骨棚は、ヒノキを格子状に組み上げ既存躯体内へ入れ子構造として耐震性能の課題を解決した。また既存の屋根を開口させて建物内部へ唯一の光を取り込んだ光庭には、鎌倉山の庭師・赤地氏に静かで力強い楓を設えて頂いた。
客殿と同様に檀家だけでなく、地域や多くの方へ開かれ、大切な方を供養するあたたかい場所としてこの建築がこれからも生き続けることを願っている。
■建築概要
所在地:東京都大田区平和島
竣工:2020年10月
用途:寺院(納骨堂)
構造・規模:RC造・地下0階/地上2階
建築面積:321.79㎡
延べ面積:562.76㎡
設計監理:勝岳史/GKAD勝岳史建築設計事務所
構造設計:河合一成/河合構造設計
設備設計:環境プランナー
植栽計画:赤地光太郎/草花屋 苔丸
施工:松井建設株式会社
■経歴
勝 岳史/Gakushi Katsu
- 1968
- 北海道札幌市生まれ、札幌育ち
- 1992
- 武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部建築学科
- 1992
- レーモンド設計事務所
- 2004
- 勝岳史建築設計事務所 創業
- 2005
- 有限会社勝岳史建築設計事務所 設立
GKAD 勝岳史建築設計事務所
https://www.katsu-architect.com/