未接道による再建築不可の烙印が押されていた築約100年の空き家を、仕事場を備えた住宅に改修した計画である。
改修前の調査で天井内に潜り込むと、小屋梁には多くの継ぎ手や切り欠き、ほぞ穴があることが分かった。柱は100㎜角と古民家にしては細い。この家が建てられた100年前は関東大震災の直後に相当し、住宅不足・資材不足の混乱の渦中で何とか資材を寄せ集め、リユースして作られた家だったことが推測された。
間取りは、生活の中心となる居室をシンプルな田の字に配置し、その周りに縁側や廊下などの中間領域が取り巻くことによってプライバシーや温熱環境の緩衝帯としている。耐震や断熱の補強は躯体の外側から行うことで、改修に付きまとう施工の難しさをなるべく簡素化し、同時に内部結露のリスクを最小化することで躯体の長寿命化を目指した。
当面は住宅+独立した仕事場として使い、将来の可能性として、仕事場部分に店舗やギャラリーなどを入れることで収益化を図れるようなゾーニングとなっている。
■建築概要
所在地:神奈川県足柄下郡真鶴町
用途:住宅兼事務所
竣工年:2021年
敷地面積:278.5㎡
建築面積:108.2㎡
延床面積:108.2㎡
構造:木造 地上1階
写真:田中克昌
■経歴
藤井 洋介
- 1974
- 神奈川県生まれ
- 1998
- 武蔵野美術大学卒業
- 1998-2021
- 竹中工務店設計部
- 2021
- エフサイズ一級建築士事務所 開設
エフサイズ
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