江戸時代から続く寺院、德淨寺の境内の再整備である。1期として客殿を建て替えた。客殿の外観はインド古代仏教建築などの影響を受けた本堂の外観が引き立つデザインとした。また中庭を介して配置されていた本堂と既存客殿の配置関係を踏襲し、既存を生かした新たな中庭を中心に客殿を配置することで本寺院の長年の佇まいを引き継いだ。
地域に開かれた「地域・文化」の象徴となる寺院となるように、明るく親しみや温かみがあり、時には孤独を感じられるような寺院を目指した。新しく生まれ変わった中庭を介した本堂、エントランスホール、各諸室、集会場は法事だけでなく、積極的に檀家や地域の方へ開放して活用ができる建物となっている。
簡素・簡潔の表現は時代に左右されずに生き続ける我が国の美の概念である。寺院建築の持つ光と影、陰と陽、を本物の材質と素材を清らかに使って表現することを心がけ、質素でありながらも自然の力を生かした空間となった。
■建築概要
所在地:東京都大田区平和島
竣工:2017年5月
用途:寺院(客殿)
構造・規模:RC造・地下0階/地上2階
建築面積:515.42㎡
延べ面積:815.95㎡
設計監理:勝岳史/GKAD勝岳史建築設計事務所
千葉淳子/Studio Γ
構造設計:河合一成/河合構造設計
設備設計:環境プランナー
植栽計画:赤地光太郎/草花屋 苔丸
施工:松井建設株式会社
撮影:日暮雄一/日暮写真事務所
■経歴
勝 岳史/Gakushi Katsu
- 1968
- 北海道札幌市生まれ、札幌育ち
- 1992
- 武蔵工業大学(現 東京都市大学)工学部建築学科
- 1992
- レーモンド設計事務所
- 2004
- 勝岳史建築設計事務所 創業
- 2005
- 有限会社勝岳史建築設計事務所 設立