暮らしの地形をつくる
都心の住宅密集地における、東西に長いうなぎの寝床状の敷地に建つ住宅。前面道路後退と裏側の崖からの離隔距離を確保した間に、半間ピッチで均等に連続する木造フレームを架けた。高度斜線によって一様に切り取られた隣地勾配屋根との空隙に向けて、連続するトップライトを設置し、日中の光を半永久的に取り込む。日照が届きづらい下階の中央部に動線の交点を集中させつつ吹抜けを設け、自然光のもとに家族の気配が繋がる計画とした。
光と風を取り込む筒の中に、床や天井を架け渡しながら諸室を割り当てていくと、それは街の谷間の地形のような空間となった。都市の狭間に住まう為の洞窟は空に向かって開き、街と地続きの床の起伏が人間の居場所をつくる。空は都市がつくり出した地形の大きな余白、地面は生活と連続する細やかな地形の連なりであり、これら二つの地形の接点に立ち上がった新しい住居は、変わらず都市に埋没した姿で建つ。
■建築概要
用途:住宅
所在地:東京都渋谷区
敷地面積:83.57㎡
建築面積:48.44㎡(建蔽率:57.97%)
延床面積:111.37㎡(容積率:133.27%)
階数:地下1階、地上2階
主体構造:木造
竣工: 2022年7月
設計:アキチ アーキテクツ 一級建築士事務所
構造:合同会社 OAK plus
施工:江中建設 株式会社
撮影:大倉英揮
■経歴
吉田 州一郎
- 1974
- 長崎県生まれ
- 1997
- 慶応義塾大学経済学部 卒業
- 2005
- 早稲田大学大学院建築学専攻 修了
設計事務所、鉄鋼メーカー勤務を経て - 2015
- アキチ アーキテクツを設立
- 2017-
- アキチ アーキテクツ 一級建築士事務所
■経歴
吉田 あい
- 1980
- 広島県生まれ、大阪府育ち
- 2007
- 早稲田大学大学院建築学専攻 修了
Klein Dytham architecture 、SPEACを 経て - 2015
- アキチ アーキテクツを設立
- 2017-
- アキチ アーキテクツ 一級建築士事務所
アキチ アーキテクツ 一級建築士事務所
https://www.akiti.jp/