敷地は郊外の住宅地。さほど広くない敷地であるため、外部との連続性や関係性に配慮することで、敷地内で完結しない住まいとなることを目指した。
屋根の高さは、まちのスケールに合わせて、近隣住宅への圧迫感を抑えるべく南西は低くし、北東の道路側へ向かって上げていく。結果として、南東に広がる田畑へ伸びやかに開くような屋根の形状となった。
この住まいは、北・東・西面は壁面積を増やして耐震、省エネ性能を確保している。窪ませた箇所に開口部を設けることで、風を効果的に、景色を印象的に内部へ取り込む。結果、外から見た佇まいとしては、「窪み」がボリュームを分節する役割を果たし、南面ではスケール感をやわらげ、北面では緑道の背景となる外壁にリズム感を与える。
室内に風景を取り込むだけでなく、まちの景色の背景として住宅を捉え直し、田畑や緑道などの、そのまちにある見慣れた景色の魅力に気づかせるきっかけとなることを目指した。
■建築概要
所在地:愛知県安城市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦2人+子3人
構造:木造在来工法
規模:地上2階
設計:kitokino architecture + noumi
担当/小林 玲子 野海 彩樹
構造計画:KMC 蒲池健
施工:株式会社 箱屋
造園:Eda 堀口真吾
用途地域:第一種住居地域
敷地面積:138.70㎡
建築面積:83.22㎡
延床面積:146.25㎡(容積率105.4%)
竣工年月:2022年2月
写真:Ookura hideki / Kurome Photo Studio
■経歴
小林 玲子
- 1986
- 岐阜県生まれ 埼玉県育ち
- 2011
- 早稲田大学大学院 創造理工学部建築学専攻 卒業
- 2011-16
- 株式会社日本設計
- 2016-18
- 小林玲子建築設計室(協働 Eureka)
- 2018-
- kitokino architecture 代表
- 2019-21
- 昭和女子大学 建築計画Ⅰ 非常勤講師
- 2019-20
- 東京大学 学術支援専門職員
kitokino architecture
http://www.kitokino.com
野海 彩樹
- 1982
- 東京都生まれ
- 2011
- 早稲田大学大学院創造理工学部建築学専攻 卒業
- 2013-20
- マウントフジアーキテクツスタジオ
- 2020-
- 野海彩樹建築設計舎 代表