ベトナム・ハノイにおける、約25名のスタッフのためのオフィスのリノベーション計画である。
ベトナムでは高温多湿な温熱環境に対応するため、伝統的に穴あきブロックが建物のファサードに使われてきた。物理的な環境を調整しつつ、都心の中で住居同士の適度な距離感を保つ社会性に着目し、これを現代化した三次元コンクリートブロック“Woven screen”を製作した。円弧が連なる平面レイアウトの中にこのコンクリートブロックスクリーンを配した計画とし、空間の分節と接続、波打つ3次元の曲面による特別な体験を生み出す、オープンでクローズド、パブリックでプライベートな空間を実現した。
“Woven screen”は280x280x100mmのモデュールのブロックを互い違いに二つ組み合わせて1ユニットとした。コンクリート型枠のオスを3Dプリンターで作製し、ローカルの製作工場が560ピースの生産を行った。
新しいデザインのプロダクトを地場のローテク資源によって製作するチャレンジである。
■建築概要
所在地: 56 Luu Huu Phuoc, Hanoi, Vietnam
用途:オフィス
竣工年: 2022年4月
規模:延床面積220㎡、敷地面積220㎡、地上6階建ての4階部分
構造:RC造
主要内装仕上げ:HPL、塗装、製作コンクリートブロック積み
施主: Thien Phuc Technologies
建主: 同上
設計者:Takashi Niwa Architects
(丹羽隆志、髙橋京平、Camille Labelle)
施工:インテリア施工-分離発注
コンクリートブロック製作-Betonlab
写真撮影:Trieu Chien
主要建材:
内装・床/水回り タイル(Vietceramics)
内装・床/執務室 フロアカーペット(東リ)
内装・壁/執務室 HPL(AICA)
内装・壁/執務室 塗装 (Dulux)
内装・壁/執務室 製作コンクリートブロック
内装・木製家具/執務室 HPL(AICA)
内装・天井/執務室 HPL(AICA)
■経歴
丹羽隆志(にわたかし)
- 1979
- 石川県生まれ
- 1999
- 国立石川工業高等専門学校 卒業
- 2001
- 東京都立大学 卒業
- 2003
- 東京都立大学大学院(深尾精一研究室)
修了 - 2005
- 岡部憲明アーキテクチャーネットワーク
- 2010
- Vo Trong Nghia Architects (VTNアーキテクツ)パートナー
VTNハノイオフィスを設立、同代表 - 2017
- ワールド・アーキテクチャー・フェスティバル(WAF)審査員
- 2018
- Takashi Niwa Architects を設立
(ベトナム・ハノイ)
日越大学(Vietnam Japan University)客員研究員 - 2020
- 丹羽隆志アーキテクツ・ジャパン一級建築士事務所を設立(東京・南町田)
■受賞
- 2015
- アジア建築家評議会アルカシア賞
ビルディング・オブ・ザ・イヤー - 2020
- サイゴン川歩道橋国際デザインコンペティション 最優秀賞
- 2022
- ハノイ、チャンフンダオ橋デザインコンペティション最優秀賞
丹羽隆志アーキテクツ・ジャパン
一級建築士事務所
https://takashiniwa.com/ja/about-takashi-niwa/