プロペラのような推力のある居住空間
目黒区の一室の改修である。子供の成長や生活に合わせ各々の適度なプライバシーが保たれた落ち着く空間という要望に対し、既存の地型である定型的な2LDKを大きく変更せず生活機能を整え、南側の空間に玄関から“対角線”を引く事で各諸室の緩やかな分節を試みた。既存にない強固な骨格に委ねて住まう事で、逆に家族の変化を鋭敏に捉え順応できる。
奥行の深い光沢は光を拡散し、動線の部分は切削し、機能を内包する部分は屈曲し、子供部屋の使い方や時間ごとの変化を回転扉が担保する。左官壁は「家具的なエレメント」として室内の全てを司るように複数の性質を与えた。プロペラの遠心力の中に各々の機能や空間を巻き込み、自然と歩き回り、運動をとめ、集中できる場所を選ぶ、家族全員の運動が同調し収束した際に自然と集まれる、自由でひと繋がりの、けれども各々が適度に独立し過ごせる居住空間となった。
■建築概要
計画種別:改修
用途:住宅(リノベーション)
計画地:東京都目黒区
延床面積:62.3㎡
竣工:2021年3月
設計:伊原 慶(TA+A)
テキスタイル:安東陽子デザイン 安東陽子 山口かすみ
施工:古賀造
写真:大倉英揮
■経歴
伊原慶
- 1981
- 東京都生まれ
- 2004
- 早稲田大学理工学部建築学科 卒業
- 2006
- 早稲田大学大学院建築学専攻修士課程修了
(入江正之研究室) - 2006-2013
- 大成建設株式会社設計本部 入社
- 2014-
- TA+A 設立 同 代表取締役
- 2014
- 早稲田大学創造理工学部建築学科
非常勤講師 - 2015-
- 武蔵野大学工学部建築デザイン学科
非常勤講師 - 2020-
- 武蔵野大学建築研究所 客員研究員
株式会社東京アーキテクツアンドアソシエイツ(TA+A)
https://www.tokyoarchitects.com/
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-31-7 ビラ・グロリア 601