両親から受け継いだ築50年の住宅を、銅版画制作のアトリエにリノベーションしたプロジェクトです。
版画家の作品は力強い作風で、建築をイメージさせる幾何学模様の立体的で、大きなものでは高さ3メートルほどありました。
そこで、間仕切りを取り払い大きなワンルームとし、追加した柱を中心に十字に梁を掛けて、銅版画の制作過程に沿った4つの“ルーム”を緩やかに規定しました。
内部空間では元からあった素材に、同じ素材を新たに添えることをルールとし、新旧の素材が調和でも反発でもなく、上手に混ざり合って、そのまばらさが独特の雰囲気をインテリアに与えています。
腐食した銅から浮かび上がるエッチングの繊細さや作品の持つ力強さと相まって、雑然としたアトリエの中に居心地の良さが生まれています。
■建築概要
所在地:奈良県奈良市
建築主:女性銅版画家
施工:西友建設株式会社
用途:住宅
構造:木造一部鉄筋コンクリート造
面積
敷地面積:390.30㎡
延べ床面積:138.43㎡
内部仕上
床:アカシア無垢フローリング
壁:構造用合板(一部皮付き杉板)
設計期間:2020年9月 - 10月
施工期間:2020年11月 - 2021年3月
写真:冨田英次
■経歴
井上久実(Kumi Inoue)
- 1967
- 奈良県生まれ
- 1990
- 大阪市立大学 生活科学部住居学科 卒業
- 1990-1998
- 大林組設計部
- 1999
- ロンドン在住
- 2000-
- 井上久実設計室設立
井上久実設計室(主宰:井上久実)
http://kumiarch.com/