大分県中津市は城下町として歴史ある街並みを残している。それに対して本プロジェクトは木造で建てたいと要望があった。
敷地は主要幹線道路に面した角地である。既存の老人ホームは4階建てのRC造で耐火建築であった。耐火建築に対しての木造を法的に解決して増築を行っている。都市木造化のケースとして可能性がある。外観は屋根と格子のみの印象とした。格子は見込みサイズを変えているので均質な表情ではなく柔らかさを持つ表情とし景観に応えた。
歳を重ね認知症や肉体的な衰えは誰しもむかえることだが、人としての尊厳を最後の時まで保つことが失われてはいけないように思う。閉じ込められるような空間では尊厳が保てるとは言い難い。中庭や廊下は自由な公共性を待たせている。行き止まりのない回廊は徘徊を妨げず、ホールでは朝日の中で朝食を食べることができる。パブリックとプライバシーが存在する空間である。
グッドデザイン賞2020受賞。
■建築概要
所在地:大分県中津市
主要用途:老人ホーム
設計:建築設計 伊藤憲吾建築設計事務所
担当 - 伊藤憲吾、原大地(元スタッフ)、河野秀一
内装デザイン協力:atelier arks 荒木明
実施設計協力:深見建築設計室 深見暢祐
構造設計:きいぷらん 山下智
設備設計:株式会社 桑野設計 桑野尚樹
コンサルタント:株式会社アイランド
運営:株式会社はぴねすさぽーと
施工:立石建設株式会社
写真撮影:YASHIRO PHOTO OFFICE
構造・工法:主体構造 木造在来工法
規模・階数:地上2階建て
敷地面積:2986㎡
建築面積:665㎡
延べ面積:672㎡
工程:設計期間2018年09月~2019年03月
工事期間2019年07月~2020年02月14日
外部仕上げ:屋根/カラーガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
外壁/防火サイディング+サーモウッド格子
開口部/断熱サッシ
内部仕上げ:主室 - 床/塩ビシート張り
壁/ クロス張
天井/ クロス張、一部木材
設備システム:空調 - 冷暖房/エアコン
換気/第三種換気
給排水:上下水道
給湯:ガス給湯器給湯 エコキュート
消防設備:スプリンクラー等
■経歴
伊藤 憲吾(Kengo Ito)
- 1976
- 大分県生まれ
- 1995
- 大分県立鶴崎工業高校建築科 卒業
設計事務所での勤務を経て - 2009
- 伊藤憲吾建築設計事務所 設立
伊藤憲吾建築設計事務所
http://www.ika10.jp
〒870-0888
大分県大分市三ケ田町1-9-43-101