■沖縄の伝統的空間構成に対する現代的試み
沖縄県西原町に建つ夫婦と2人の子供のための住宅である。敷地は南側に勾配のある前面道路があり、道路と土地の高低差が2m程ある状況であった。また北側には生い茂る森、東西は将来的に建物が建つことが想定された。要望では、クーラーを極力使用しない風通しの良い暮らしや、庭でBBQをしたいなど屋外空間との繋がりを重視すること、バリアフリーであることが求められた。
1階の平面計画では、敷地の高低差を解消するアプローチスロープと、LDKの延長としてのバルコニーをスロープ途中に隣接するよう建物の南側に配置することで、風や視線が南北に通り抜ける計画としている。また、玄関を通らずともアプローチスロープからバルコニーを介しリビングに出入りすることができ、これは沖縄の伝統的なアマハジ空間(半屋外間)と同様であり、視線や通風だけではなく外来者との接客を含む機能的な空間構成となっている。2階は寝室等を北側にまとめ、南側にルーフテラスを確保しており、庭としての役割を持たせている。また、ルーフテラス上部から張り出したスクリーンが建物の南側を覆うことで強い沖縄の日差しを和らげてくれる。1階のアプローチスロープやバルコニー、2階のルーフテラスというタテ方向に連続するアマハジ空間をスクリーンによって繋げることで快適な住環境に包まれる建物となった。
■建築概要
建築名称:タテのアマハジで繋がる家
所在地:沖縄県西原町
用途:一戸建ての住宅
建築主:鈴木秀幸
設計者:久志直輝 (担当:國定義弘)
施工:(株)エムズ
規模:構造 壁式RC造
階数 2階
敷地面積 134.87㎡
建築面積 79.00㎡
延床面積 109.54㎡
設計期間:2017年04月~2018年02月
竣工:2019年03月
■経歴
久志直輝 (Kushi Naoki)
- 1975
- 沖縄県宮古島市生まれ
- 2000
- 琉球大学理工学部環境建設工学専攻修了
ファイブディメンジョン入社 - 2007
- studio jag 1級建築士事務所 代表