雲南省白沙村はナシ族の伝統的民家が立ち並ぶ牧歌的な農村地帯であり、ここに古民家を増改築したリゾートホテルを計画した。木造の民家の外壁には現地産の五花石が積まれ、雄大な玉龍雪山を間近に望むことができる。
まず既存部の木構造だけが露出された状態を仮定する。そして雪山と集落の風景を多様に享受できるように、ランダムに積み重ねられた石のヴォリーム群を設定する。一方で屋根は4棟の既存部を起点に規則的に配置し伝統的な周辺環境と調和させる。その結果露出された木造架構及び木壁面は、五花石の硬質な外殻と対比され、軽快さと重厚さが対比的に現れるように意図した。
経年変化した木造構造体や粗く積まれた乱積みの壁などの古い記憶と対極的に、現地の材料を使った新しい思考を挿入する。単なるノスタルジックな保存では、時空の座標軸に点を打つにすぎない。過去と未来を記憶が螺旋状に繋ぐように、新旧の時間と空間を積極的に重層させている。
■建築概要
施主: 北京青普旅游文化発展有限公司
住所: 中国麗江白沙鎮白沙行政村忠義四社
面積: 2482.5㎡
用途: リゾートホテル
竣工: 2017/12/01
施工:雲南理想装飾設計工程有限公司
企画:田少寅
建築設計、内装設計:堤由匡建築設計工作室
(堤由匡、李思明、史維維、宋林*、崔君*)(*インターン)
照明設計:株式会社ライトモーメント(田中圭吾、金森善弘)
設備設計:北京東洲際技術咨詢有限公司
(石川星明、竹林克宣、山崎隆司)
構造設計:北京炎黄連合国際工程設計有限公司
(鮑連生,劉彦慧)
写真:広松美佐江、宋昱明(北京鋭景撮影)
■経歴
堤由匡
- 1978
- 福岡県生まれ
- 2003
- 東京大学建築学科卒業
- 2004-2008
- SAKO建築設計工社勤務
- 2009年-
- 堤由匡建築設計工作室(北京)設立
- 2020年-
- 一級建築士事務所
- 堤由匡建築設計工作室(広島)設立
■主な受賞
- JCDデザインアワード(日本)金賞、銀賞、西沢立衛賞
- DFA アワード 銀賞(香港)
- 2A アワード(ドバイ)入賞
- APIDA(香港)銅賞
- A&D China アワード(香港・中国)ホテル部門優秀賞
- The Architecture MasterPrize(アメリカ)入賞
- A’ Design award(イタリア)銀賞
一級建築士事務所 堤由匡建築設計工作室
http://www.tsuaa.jp
〒730-0004
広島県広島市中区東白島町21-25-404