「VERITAS北山」は二つのオーナー住戸を含む計14世帯の低層共同住宅です。
京都の閑静な住宅地として名高い北山に建ち、共用バルコニーからは京都市登録無形文化財の京都五大送り火の一つである「大文字送り火」と、盆地を囲む雄大な山並みを眺望できます。
計画当初に、オーナー様より「通りに大きな建物が突然現れて、町並みから浮いてしまうことが無いように」というご要望を頂きました。そのため、建物正面のメインエントランスのある北側通りから遠い敷地南側のボリュームは三階建てとし、戸建ての立ち並ぶ北側通り沿いには二階建てのボリュームを配することで、二棟の邸宅がゆったりと並ぶような配置としています。
外壁は、黒色下地の上に落ち着いた風合いのせっ器質タイルを空目地で貼りこみ、風通しの良い現代的な軽やかさを表現しました。同時に、建物外周に規律的に廻らせた黒い水平ボーダーが視覚的な伸びやかさと安定感を生む意匠としました。
また、敷地東南の角にあるオーナー様が代々大切にされてきた松の木を毎日眺められる位置にオーナー様の八角形リビングを配置しました。この松の木と調和する外観は、オーナー様が以前住まわれていた八角形の部屋のあった洋館を想起させます。
賃貸部インテリアは、法令により階高を高くできないこと、京都の景観条例で屋根を寄棟としなければならないことを逆手に取り、勾配のある屋根スラブ直天井としています。構造は梁型・柱型のない、壁式ラーメン構造を採用することにより、ワイドスパンの居室を可能にし、閉塞感を感じさせない広々としたリビング空間を実現しました。
■建築概要
工事名称:VERITAS 北山共同住宅計画
工事場所:京都市左京区下鴨南芝町30-1,2(地番)
地域・地区:第1種低層住居専用地域, 第1種住居地域
防火地域:指定なし
敷地面積:938.97㎡
建築面積:579.52㎡
延床面積:1,314.25㎡
構造・規模:鉄筋コンクリート造・地上3階建
用途:共同住宅14戸
賃貸: 2LDK 9戸、3LDK 3戸
オーナー住戸: 2戸
建物高さ:9.68m
基礎工法:布基礎
駐車台数:8台
工事期間:平成31年1月10日〜令和元年12月26日
建築設計:The Creative Collaborators 株式会社
構造設計:株式会社清水構造計画
設備設計:長谷川設備計画
工事会社:株式会社 D・S・G
写真撮影:高橋富之写真事務所
主要外装仕上げ:せっ器質タイル/国代耐火
代表取締役 鷲尾淳
- 1971
- 和泉小・中学校から都立富士高校に進学
- 1997
- 芝浦工業大学建設工学大学院修了。同年藤木隆男建築研究所入社
- 2000
- 米国サンフランシスコに在住し、BAR ARCHITECTにてシニアハウス及びホテル設計に従事。2008年の帰国後は日本設計インターナショナルにて中国・ベトナムの複合開発案件の設計に従事。2013年にTCCを設立し現在に至る
The Creative Collaborators, inc.
tcc-tokyo.com
〒167-0051
東京都杉並区荻窪 2-1-14