インタビュー No.012

建築士の自己能力開発「CPD制度オープン化」について

高野壽世氏 インタビュー


- 再生時間:9分26秒 -

2002年11月より、建築士法22条に基づき建築士会会員向けに設けられた、CPD制度。「建築士」に必要な継続能力開発と専攻領域・専門分野に見合う能力開発の内容を社会に明示することを目的に開始された同制度は、2010年4月1日より、建築士会員という垣根を超え、建築従事者ならばだれでも取得ができるようオープン化された。オープン化の狙いと現状についてCPD・専攻建築士制度委員会委員長の高野氏に話を聞いた。

CPD制度について

高野

日本建築士会連合会・各建築士会が自主的な政策として取り込んだCPD制度なんですけれども、基本的にはやはり建築士会の会員が建築に関わる知識だとか、技術だとか、そういったものの研修を受けることによって、資質の向上を図っていこうということで平成14年度からCPD制度が開始されました。能力開発と言いますか、育てていくという意味で、きちんと資質を高めていこうというのが大きな眼目になると思います。

現在の会員構成は?

高野

当初から結構増えて、今現在は3万5千人。当初から徐々にってことはもちろんありますが、CPDについて言えばかなりの人数でスタートしているのが実態です。

建築士会の会員は10万人弱、実際1級2級木造を持ってる方は、100万弱いるんじゃないかとおもいます。1級・2級・木造って資格がありますけれども、10数%会員がいるんだろうなと(認識しています。)

オープン化されたことで対象者はどのように変化しましたか?

高野

建築士に限らず建築系の技術者という意味合いで言うと、例えば施工管理技士とかそういう方を含め、建築に携わってる方については、このCPDが参画出来ますとオープンにしたということですね。

従来は、会員になれば受け入れたんですが、それをもってオープンというかはまた別ですね。

ですから、会員にならなくても受け入れる、CPD制度に参画できるということです。

CPD制度オープン化の目的は?

高野

建築士会及び建築士会連合会が、全ての建築士に研修をする義務が生じたことが法で定められています。

それと、一方では、連合会が中央登録指定機関、一級建築士の登録機関ですね。それから、各都道府県にある47の建築士会が都道府県指定の登録機関、つまり二級とか木造を登録する機関に(なった)。建築士会は徐々にですけど増えてきているという中で元々公益性がある団体で間違いないですが、さらに公益性が増してきているとうのが一つにある。それと、今おっしゃった士法の改正の話。それから、さっき言った3万5千人中ある一定のニーズは会の内部の中で規模が膨らんできている。これは当初からの考えだったんですけれども、最終的には一般的に社会ベースとしてこれがなじんでいくためには、オープン化をして誰もが参加できるようにしていこうという元々の狙いがありましたので、こういった3つの視点でオープン化が進められてきたんです。

CPD制度オープン化で変わった点は?

高野

そうですね。制度的に、また機材的に言うとそういうカードの部分がありますね。ですから、今まではご存知の通りバーコードシールをCPDの手帳へ貼るという、非常に煩雑な・非常に分かりやすいやり方だったと思うんですよ。それで3万5千人まで会員が増えたということが当然あると思うのですけれども。ただ、実際の実務としては、申請する方・プログラムを申請する主催者と、それぞれが大変繁雑な思いをしていることは間違いないですね。具体的に言いますとCPDのプログラムを申請する方は、もちろん申請をして認定をもらうんですけれども、その際に「これだけのバーコードシールが今回出席者がいるから下さい」という申請をするわけですね。バーコードシールの発行を受けて、それを当日研修が終わった段階で会員に配るわけです。受講者に。今度、受講した人は、バーコードシールを手帳に貼るわけです。

手帳に貼ったものを1年に1回、ないしは2回最寄りの自分が所属している建築士会に、今度は読み取って下さいということで手帳を持ちこんで行くわけです。そうすると、事務局の方でシールを読み取るわけです。バーコードを。まさにそういったものすごい手順が掛るんですけれども、今回はカードをポンとかざすだけ。CPDの参画者にとっては、カードをかざすだけで、それで全部終わってしまう。そう意味では、非常に利便性が高まったということが言えると思います。もう一つご存知の通りCPDと専攻建築士制度というものをやっていますけれども、専攻建築士のカードも同じようにかざすだけでCPDの登録ができるようになっています。

CPD制度オープン化に伴い申請プログラムの数は増えましたか?

高野

従前からも、CPDの単位を取得できる研修であったりお申込みがあった際に、そういった各民間の教育機関も含めて全部に需要があったんですよ。もっとオープン化に伴ってCPDをやる方が増えてくる。そういった意味では主催者側が、プログラムを作る方ですね。そちらからの申請は当然多くなると私共も期待しております。

行政機関で取得単位により加点対象となっていますが、今後の単位取得の影響は広がっていきますか?

高野

広がって行って頂きたい。オープン化というのはそういった意味では非常に大きな力になると思うんですね。まぁ、建築士会は確かに非常に公益性の高い団体でありますし、会員にとっては非常にCPD制度は良い制度なんですけれども、やはり社会的に客観的にみたときに一つの団体にすぎないと言われればそういう形になりますので、多くの方が参加することによってその不変性はウンと高まってくるという意味合いで私どもは考えております。そういった意味で今回各行政機関がそういったCPDの実績データを採用するというのは、もっと場面的には増えてくるのではないだろうかと期待はしています。

どのようなジャンルで制度を活用されることが多いですか?

高野

CPDは、(大きく分けると)建築系と建設系の2つに分かれていて、建設系は土木が主流なんですけれども、もちろんそちらの建設系の方にも、日本建築士会連合会・建築士会としては、構成の会員の方々が設計部門だけでは無く、施工部門・生産部門あるいは行政部門と沢山いますけれども、特に生産部門に関わっている方々が沢山いらっしゃる。そういうことで、建設系のCPDの運営委員会の方にも我々としては加盟をしています。そういった意味で、私ども建築士会がやっているCPDがそういった工事部門に、決して道具と言った意味ではないですけれども、工事部門で採用されているのはまさにその部分なんです。国交省でやられているのは、建築系。どちらかというとコンサルタント、あるいは設計部門。こちらの方で採用されている事例が多くみられる。

CPDの単位は自身のPRとしても使える?

高野

自分がこういうCPDをやっていましたという履修証明というかCPDの実績を現実にクライアントと何か説明があるときには必ず持って歩くという方も中にはいらしゃいます。だから、常に自分を前向きにCPDの制度を活用されている方は沢山いらしゃいます。ですから、そういう使い方をどんどんしていけばもっと大きな力になると思っています。

CPD制度を通じて制度参画者へ望むこと

高野

日々努力している技術者が、報われるという世の中になって欲しいですね。もちろん、自分の為、あるいはみなさんのため、仕事の為ということで勉強されていると思いますけれども、結果的にそれが何か報われるという、それが先ほどから言っている各行政機関でCPDを採用して頂くだとか。場合によっては、それが広がっていって、民間の発注段階でCPDを活用して頂く場面がどんどん増えてくれば、これはまた素晴らしいことだと思っています。CPDが当たり前だと、そういった教育・継続開発に参画して勉強しているというのは、建築技術者のみなさんがそうなれば、我が国の建築の質が大きく変わると私は思っております。ですから、そういう意味で、CPD制度を推進していくというのは、我々にとっても大きな使命だと思っています。ですから今回、多くの方々にCPD制度に参画して頂いてよりよい建物を作っていこうということにでやっていただければなと思っております。