ARCHI REVIEW

ARCHITECTS REVIEW


藤原徹平
横浜国立大学大学院 Y-GSA

紙に書いたメモやアイデアを、ボタンを押すだけでスマートフォンやタブレットに保存できるスマートパッド、Bamboo Slate。保存したメモやアイデアをアプリで編集したり、エクスポートしたファイルを共有したり。さらには、クラウドでの同期を通して、場所や時間を問わずメモにアクセスすることも…。そんなアナログとデジタルをつなぐ架け橋的存在の製品を、建築家教育で有名な横浜国立大学大学院 Y-GSAの藤原徹平スタジオのみなさんに1カ月間使用していただきました。

動画1:PCに取り込めばスケッチへの加工も簡単に。プレゼン用の素材もあっという間に作成することができる。

 

動画2:薄い紙を使用すればトレースがグッと身近に。図面をトレースしてその上から改善点を加えていくという使い方もできる。

 

動画3:書き込みすぎて複雑になってしまった情報はリバース機能でスッキリと。戻った時点から追記ができるので修正も手軽だ。

 

情報を共有するのが格段に簡単になるなあと思いました

――実際に使用してみて、いかがでしたか?

 

学生A 持ってるだけで人気者になれました(笑)。「何それ?」「え?何? みんな持ってるんじゃん! 流行ってんの、それ?」みたいな(笑)。・・・機能を教えたり、実際に使ってもらうと「いいね、いいね」、「欲しい、欲しい」ってすごい食いつきで。やっぱり、いろいろな手間が省けるってのはすごいですよね。紙媒体を通してじゃない情報共有っていうのが結構主流になってきている中で、データにする楽しさ、データにする気楽さっていうものを、みんな求めているのかなあと。

 

学生B たしかに、紙に書くのとはまた違った気楽さがあるように思いますね。スケッチに関していうと、リバース機能がすごく便利で。「前に描いたスケッチをプレゼンテーションで使おう!」と思っても、描き込みすぎてて、複雑でわかりにくいなーっていう時って結構あって。そういう時に普通のペンだったら、もう一度描き直さなきゃいけないじゃないですか。でもそのリバース機能を利用すると、書いた順に巻き戻して、ここまでなら自分でもわかるなっていうもう少し前の状態に戻してから保存し直せて。それをプレゼンテーションに使えたので、とても便利だなーという風に思いました。

 

学生C 実はこの期間に、急ぎでプレゼン資料を作らなきゃいけない時があったんです。その時は車の中で資料を書いて(笑)。普通だったらそれをスキャンして、コピーして、っていう手間がさらにかかるんですけど、Bamboo Slateならそのままデータを飛ばせますからね。まさに救世主でした(笑)。さらに、付属の用紙以外でも使用できるという点がとてもよかったですね。トレースもしやすいので、大活躍でした。

 

学生D 私は、情報を共有するのが格段に簡単になるなあと思いました。学生同士で読書会をしてるんですけど、事前準備の、誰がどのページを担当するかの割り振りを決めるミーティングの議事録をまとめるのがいつも大変で。話し合いながらガシガシ取ったメモを、まとめ直したり清書したりしなきゃいけない。その点、Bamboo Slateは試行錯誤の跡を残しつつ、そのまますぐに共有できるので無駄もないし、かなり便利でした。

 

学生E 本当にすぐ共有できるよね。僕は古民家の調査や実測をしているんですが、地方ではプリンターやスキャナーなどの電子機器がないことが多くて。そんな中で自分の書いたものを他の人と共有したいっていう時に、他の人の携帯とかにリンクされてくっていうのはすごい使いやすいなって思いました。さらにいえば、ライブ機能が複数の端末でリンクできたらうれしいですね。遠くに離れている人にも臨場感を持って見てもらえるようになったら、より調査が捗るんじゃないかなあ。

 

 

手書き線とCADとの距離を縮めてくれる存在として期待

――さらにこうしてほしい、といった要望はありますか?

 

学生B そうですね…貸していただいたA4サイズは、屋外での作業や持ち運びに便利なんですけど、図面やスケッチなど、画面を大きく使う建築学生としては、やっぱりA3ぐらいあると嬉しいかな…。

 

学生C これは学生に限らず、先生たちにも言えることなんですけど、自分のお気に入りのペンを愛用してる人が多いんですよね。なので、紙に続いて、お気に入りのペンでも反応してくれたら…なんて(笑)。贅沢なんですけど(笑)。

 

藤原 じゃあ僕からも。描いた線が、パスデータになったらいいと思うんだよね。僕らはプロの画家じゃないから、描いたものをどうしても直して使わないといけない。その時に、パスデータになっててくれるとポイントもハンドルもすぐに足せるんで、すごく便利だと思うんです。建築の場合は最終的にCADにしていかないといけないから、どうしたってデジタル化が必要で。その距離を縮めてくれる存在として、すごく期待しています。

 

――建築家の方はアナログの「手書き」であることにこだわっている方が多いように感じます。
      その理由はどんなところにあるのでしょうか?

 

藤原 根源的に、人にとって何かを表現するときに「書く」ということがすごく大事なことだと思っていて。表現するには「喋る」、「見る」、「読む」…と、いろいろあるんですけど、その中でもとりわけ「書く」という行為は、書いたらなんか物が生まれてくるっていうところで、より「自分から生産していく」ということとの結びつきが強い行為なんじゃないかな。しゃべり方に個性があるように、書き方にも、ひとりひとりのリズムみたいなものがあるんじゃないかと。「書く」っていう行動の中にはいろいろな情報が含まれていると思うから、やっぱり「スケッチ」というアナログな行動は、いくら大変であっても大事だと僕は考えています。さらにいえば、まあ、人間の手が描くと…間違えるじゃないですか。その間違えたものを解釈して形に変えれば、結構面白いものになってくると思ってるんですよね。

 

描いて一回線にすることで、秩序が生まれて、秩序があることで、建築が面白くなっていく。そういったところが日本の建築の良さなので、そこに断絶があった方が僕はいいと思っています。ただ線にする時、現代ではアナログのままの手書きの線っていうのが、もう全然コミュニケーションができないので、デジタルの線にしなきゃいけないんですけど、スケッチをデジタルの線にするところにも断絶があって、ちょっと遠いんですよね。あまりにも。

 

そういうわけだから、「スケッチ」から「線」に変換するという行為が、もっとスムーズにデジタル社会につながっていくような流れになると、もっとこう、多様なものが生まれるんじゃないかと。なんとなく直感としては、思っています。だからこそ、今回Bamboo Slateを使ったときは本当にびっくりしたし、きっと研究室の誰よりも、楽しんで使ったんじゃないかな(笑)。まあ、おかげでめちゃくちゃ働かされるようになったんだけど(笑)。


藤原徹平
横浜国立大学大学院/建築都市スクール Y-GSA
藤原徹平スタジオ

藤原徹平(Teppei, Fujiwara)

1975年
横浜生まれ
2001年
横浜国立大学大学院修了
2001年~
隈研吾建築都市設計事務所勤務、同事務所設計室長・パートナーを経て2012年退社
2009年~
フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰
2010年~
NPO法人ドリフターズインターナショナル理事
2012年~
横浜国立大学大学院Y-GSA准教授

【お問合せ先】 株式会社ワコム
http://www.wacom.com/
http://www.wacom.com/ja-jp/products/smartpads/bamboo-slate