各審査委員講評
この度は、本コンペティションにご参加いただき誠にありがとうございました。 工場を運営する立場にある私は、どうしても日々の業務に基づく固定観念や、特定の好みに偏ったデザインイメージを持ちがちでした。しかし今回、応募者の皆様からの思いもよらない多様な発想に触れ、大変多くの刺激を受けました。 審査会での建築家の皆様とのディスカッションでは、個々の作品に対する多様な視点や捉え方があり、今後の工場の在り方や実設計に向けた大きなヒントを得ることができました。全応募者様に心より感謝申し上げます。 工場は本来、経済活動のための施設ですが、社会の中で、そして社員の人生にとってどのような空間であるべきか、改めて深く考えさせられました。 これから、美しく機能的で、社員が毎日の出社を楽しみにできるような工場の実現に向けて、本格的な設計に進んでまいります。素晴らしいアイデアを本当にありがとうございました。
山内 隆嗣(審査委員長)/ヤマウチマテックスHD株式会社 代表取締役
今回のデザインコンペに全国から多数のご参加を頂きありがとうございました。どの作品も甲乙付け難く、皆さんの発想の凄さに大変驚き、また大変感動しました。今回は日常に建築設計に携わっている藤野さんが大賞に選ばれました。学生の方との大きな違いは現実離れをしていないか、実現性(コスト面)がどれだけあるかという事を考えました。今回のコンペでは実際に工場オフィスが建設される訳ですから、デザインとコストは出来るだけセットで考えなければいけないと思いました。学生の方の設計には壮大な夢を感じたのも事実です。今後も皆さんが建築設計の道でご活躍される事を心より願い、また皆さんが今後設計した建物を一緒に出来る日が来ることを望みます。
酒井 正俊/株式会社三木組 福井支店長
福井では稀な建築設計コンペに審査員として参加する機会をいただき、とても感謝しております。工場建築は、20世紀初期のモダニズム建築を躍進させたテーマでしたが、それから一世紀が経った現代日本の地方都市におけるシン工場をめぐって、全国からの応募案は、どれも意欲的な力作が多く、人間と工場、そして環境の在り方を深く問い直すものでした。当プロジェクトに続くコンペが地元で企画され、多様な地域貢献に進展することを期待します。
市川 秀和/福井工業大学 建築土木工学科 教授
アイデア・デザイン・コンペについて先ず考えること、アイデアとは「今まで思いつきもしないこと、または、目的達成のための工夫」、デザインとは「機能的で全てに意味のあること」、コンペとは「最も相応しいこと」であると考えます。(私見的考えです) 最優秀賞の「森を纏う工場オフィス」はデザイン条件を全て満足し、働く人ファーストの提案を切に感じ取れた。特に、空調負荷の低減・カーテンブラインドレスを実現させるため、庇を的確に使用配置し、互い違いした3階のオフィスゾーニング、更に、2階の製造ライン配慮された断面計画は、これからの時代に最も自然な建築になると確信しました。 庇とは、建物の寿命を延ばし太陽光を調整することで屋内環境を整えます。これは、建築にとってとてもシンプルで自然的な考え方です。デザインは「最も自然的」で、アイデアは「目的達成のための工夫からうまれる発想」だと改めて痛感させられました。
高澤 徹/株式会社木村建築事務所 一級建築士
本コンペにおいて審査員を務めさせていただきました。実際に建設される工場を対象とした、外観デザインのみならず実現性や環境配慮、独自性等が求められる点に大きな意義がありました。応募案には、緑園やアトリウムを想定した外観デザインにおいて多様で意欲的な提案が多く見られました。また、環境配慮や働く場としての快適性に言及した提案も多く、工場建築の新たな可能性を感じさせる内容となっていました。一方で、工場としての機能性や構造的合理性、利用を想定した生産動線への配慮が十分に整理されていない案も散見され、コンセプトと実務条件をいかに高い次元で統合するかが重要であると感じました。特に優れた作品は、企業の技術力でもあるチタン、福井という地域環境、それらを建築として一貫したストーリーのもとに説得力ある形で表現していました。本コンペを通して、自由な発想と現実的な制約を往復しながら、設計を深化させることの重要性を改めて示す機会となりました。
川端 秀和/株式会社hplus 一級建築士
審査委員(左から)
- 高澤 徹/株式会社木村建築事務所 一級建築士
- 山内 隆嗣(審査委員長)/ヤマウチマテックスHD株式会社 代表取締役
- 市川 秀和/福井工業大学 建築土木工学科 教授
- 酒井 正俊/株式会社三木組 福井支店長
- 川端 秀和/株式会社hplus 一級建築士




