世界の建築は今 No.166

淵上正幸(Masayuki Fuchigami / 建築ジャーナリスト)

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最終更新 2019/07/30 10:00

MECA (Bordeaux, France)

MECA(フランス、ボルドー)

Design : Bjarke Ingels /BIG
設計:ビヤルケ・インゲルス/BIG


市民アート活動の拠点アーバン・リビングルーム

ニューヨークに渡った若手デンマーク建築家、ビヤルケ・インゲルスの活躍が、飛ぶ鳥を落とす勢いなのは読者の方々はすでにご存知だろう。しかもそれが世界中を股にかけて神出鬼没なのだ。今回はフランスのボルドー。かつてはギュスターブ・エッフェル、ル・コルビュジエ、ジャン・プルーヴェなど、現代ではレム・コールハース、ジャン・ヌーヴェル、リチャード・ロジャースなどの名作がある場所だ。

コンペで勝った延床面積18,000㎡の建物は「MECA」と呼ばれ、アキテイン地区の創造的文化的ビルだ。建物は現代アート、映画、パフォーミング・アーツのための空間を含み、ボルドーのウォーターフロントから同市の新しい都市センターに向けて、アートに満ち溢れたパブリック・スペースを提供する建物である。ガロンヌ川とサン・ジャン鉄道駅の間にある「MECA」は、3つのアート組織をまとめた構成だ。すなわち現代アートのFRAC、映画、文学、視覚芸術のALCA、そしてパフォーミング・アーツのOARA。世界遺産都市のこの辺りを文化の震源地にしようという試みである。

建物は文化施設とパブリック・スペースをループ状に含み、プロムナード通路を外部へ押し出し、アーバン・リビングルームに通じるランプ(斜路)としている。建物はガロンヌ川に沿って長く建っているが、建物の中心部には巨大な広場が川側と街側の両サイドに向けて開いている。

これがアーバン・リビングルームと呼ばれる外部イベント広場だ。

街側と川側にはこの広場に上がる大きなランプがあり、これがメインのアクセス通路になっている。巨大な空洞の広場であるアーバン・リビングルームに着くと、まず左側の部分にOARAが、右側にALCA、そして上部の屋根部分にFRACが入っている。「MECA」のメイン・エントランスはアーバン・リビングルームの下側1階にある。つまり建物は、巨大な空洞の広場を中心に、上下左右を4つの機能空間がループ状に取り巻いているのだ。

広さ1,100㎡のアーバン・リビングルームは、来館者が自由に歩き回れる広場であり、LEDライトを組み込んだ長さ7mの「MECA」のサインが上部から吊るされている。このアウトドア・スペースは、特別イベント時にはコンサートや演劇用のステージとなったり、アート・インスタレーションが配されたギャラリーとなったりする。また川側の階段には、フランス・アーティストであるブノワ・メールのヘルメスの半顔像が配置され、市民に向けて同地の現代文化への誘いを喚起している。

アーバン・リビングルームの下側にある1階エントランスを入ると、ロビーの中にスパイラル状のピットがあり、来館者はそこでくつろぐことができる。またレストランもあり、ワインの街ボルドーということで、赤いテーブルとコルク製の椅子が配備されている。

「MECA」のオープン時には、多くの人々がボルドー・ワインを酌み交わしたり、スケート・ボーダーたちが現れたりして非常に賑わったようだ。「ボルドー市のアート・アクティビティの拠点として、「MECA」のアーバン・リビングルームに市民のクリエイティブなアイディア、文化を持ち込むことで、自分たちのものにして欲しい」と、ビヤルケ・インゲルスは願っているという。


[図 面]

 

[建築家]

Bjarke Ingels / BIG
ビヤルケ・インゲルス/BIG

(Photo by Jonas Bie)
https://big.dk/#projects

 

・Photos of MECA by Laurian Ghinitoiu, MECA Press, and Florent Michel Hires.
・Diagrams by BIG
・All the informations : Courtesy of BIG