最終更新 2018/07/31 09:45
マイアミといえばアメリカにおける有数の常夏リゾートとして日本でもつとに有名だ。しかし日本からはハワイほど近はなく、ポピュラーな感じはなく高級感が伴うのは事実だ。そうした意味では、ここに紹介する「グローブ・アット・グランド・ベイ」は、まさに超高級マンションといえる。
マイアミにおける集合住宅のスタイルは、ブリーズ・ソレイユを多用したスタイルで、フルハイトの開口部をもつバルコニーが巡っているのが多い。そうしたマイアミ・ヴァーナッキュラーな建築的特徴から、ここに多いコンドミニアムは、マイアミ・ハーバーの素晴らしいパノラミックな水景を楽しめるタイプを開発してきた歴史がある。
ビヤルケ・インゲルスが建築デザインにおけるこれら固有のエレメントを引き継ぎ、かつそれらのローカルな建築ヴォキャブラリーを発展させたものが、ここに紹介する「グローブ・アット・グランド・ベイ」である。敷地は海に面するかつての「グランド・ベイ・ホテル」の跡地で、空港やマイアミ・ダウンタウンに近いという利点がある。
海辺に位置する建物は2つの集合住宅タワーからなり、近接した2棟はねじれながら対話をしつつ立ち上がり、各棟の住人の直接的な視線の衝突を巧みに回避している。20階建ての2棟で96戸の住戸を擁し、互いに反応しつつ各階からの最適な景色をエンジョイしている。ダンスをしているかのようなシルエットを見せる2棟のタワーは、ヨットが浮かぶ湾やマリーナが並ぶ埠頭のワイドなパノラミック・ビューを満喫できる。
まず2棟を直角に配して南側タワーの建築面積を小さくし、北側棟からの海への眺望を遮らないようにした。これによりマリーナが正面に、マイアミのスカイラインが北側に見える。さらに
2棟が上昇するに連れてねじりを加えて、2棟が表側と裏側のビルでなく、屋上のプランではサイド・バイ・サイドに並ぶ形になっている。
ここでは外部と内部がアメニティー・レベルでシームレスに融合し、南フロリダの気候に特有な連続的屋内外生活体験が最大限可能になっている。天井高約3.6 mでフロー・スルー(空間の行動可視化)のフロア・プランをはじめ、フルハイトの開口部、屋内外の融合的生活環境をつくり出すラップ・アラウンド・バルコニー付きの広々とした屋外テラスが効力を発揮している。
ランドスケープ建築家のレイモンド・ジャングルスによるクリエイティブでエコロジカルなデザインは、近隣の多様な緑を取り込み拡大し、それらの豊富に茂った植物群がパーキングやアメニティ・スペースを覆い、さらに建物への歩行者アプローチや自動車アクセスも覆って、緑に埋もれたオアシスを形成している。
Portrait : ©Jonas Bie
1974年 | デンマーク、コペンハーゲン生まれ バルセロナ大学とデンマーク王立芸術アカデミーで建築を学ぶ |
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1998年 | OMA勤務 |
2001年 | PLOT建築事務所をジュリアン・ド・スメットと設立 |
2004年 | ヴェネツィア・ヴィエンナーレ金獅子賞 |
2005年 | PLOT解散 |
2006年 | BIG (Bjarke Ingles Group)を設立 |
2010年 | ヨーロッパ建築賞 |
2011年 | フランス建築アカデミー賞 |
2012年 | AIAデザイン賞 |
2014年 | RIBAヨーロッパ賞 |
2015年 | カナダ建築優秀賞、国際高層建築賞、AIAデザイン賞 |
2016年 | AIAアーバン・デザイン賞、アガ・カーン賞、アメリカ建築賞集合住宅銀賞、 国際高層建築賞 |
2017年 | AIA集合住宅賞 |
主な代表作に、コペンハーゲン・ハーバー・バス、海洋ユース・センター、VM集合住宅、ヘルシンガー精神医学病院、シヤケット・ユース・センター、マウンテン集合住宅、スーパーキレン・マスタープラン、8ハウス集合住宅、デンマーク海洋博物館、エクスポ2010デンマーク・パビリオン、タマヨ文化センター、アスタナ国立図書館、グルメル・ヘラップ高等学校、Via 57ウエスト、グローブ・アット・グランド・ベイなど多数。
Photos: ©Rasmus Hjortshoj
Photos & Material : Courtesy of BIG
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