レポート

「石上純也―FREEING ARCHITECTURE」展

文・写真:柴田直美

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3月30日(金)から、パリのカルティエ現代美術財団で、「石上純也―FREEING ARCHITECTURE」展が始まった。石上は、今までの展覧会ではインスタレーションは建築プロジェクトと同列に考え、美術館という敷地につくる、そこでしかできない建築として実現させていたが、建築と環境がすばらしいカルティエ現代美術財団(ジャン・ヌーヴェル設計)の空間の中では、美術館という敷地に新しい建築をつくる手法は考えにくく、今までとは違うアプローチを試みたという。
「自分の中の考えをまとめてみたいと思っていて、進行中のプロジェクト群を俯瞰するということは、こういった機会でないとできないことであり、今、やってみたいと思った。現在、手がけているプロジェクトを通して、建築の新しい考え方を見出だしたい。」という本展は、図面や模型、完成予想図、施工中の写真などで20あまりの作品が展示され、いわゆる「建築展」のフォーマットに近い。

展示スペースは地上と地下に分かれていて、入口で手渡されるプロジェクトについて書かれた冊子を見ながら、展示を巡る。外部の庭園の緑と視覚的に接続した広々とした空間の中に、大きな模型が並んでおり、見上げたり、じっと目をこらしたり、2階のブックショップから見下ろしたり、身体を使って鑑賞しているように感じる。実際には模型にほとんど色はないが、次から次へとカラフルな空間が目の前に現れるような楽しさを覚えながら、その建築が世界のどこかにできている(できる予定)であることに心が踊る。

  • 展示室01
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  • 模型03
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  • 解説文
  • 樹木の調査01
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  • ドローイング
  • 模型15

 

石上はインタヴューの中で自身をこうなぞらえていた。「新しい世界に心地よく連れていく旅行ガイド」現代の多様性に対応するために、硬くて強い殻を持つコンセプトではなくて、透明で知らないうちに浸透するような力を高め、共有することが今の時代には重要、と語る石上にとって、「行きづらいところにも心地よく連れていくためにどう案内したらいいのか考えている」ことと、「自分の頭の中で現れてくる強いコンセプトを柔らかく解きほぐしながら伝えていくという作業に時間をかける」ことは、同じ作業なのだろう。

また石上が語る「自然」は、柱と梁などのように理にかなった構造として淘汰されたものなど、人間が作るものの自然さも含めた「自然」であり、それが建築の本質であるという。石上が考える「自由な建築」、「建築が自由である」ということは「自然な建築」であることを追求した先にあるのだろうか。

展示に足を踏み入れると、まずその膨大な作業量やスケール感に圧倒されるが、地下階にある約20分ほどのインタヴューを見ることで、石上が持つ空間への繊細な感性と対をなすほどに全体をまとめ上げる構築的な思考が鍵であることがわかり、石上が見据える壮大な「建築」の先をちらっと見せてもらった気になる展覧会であった。

  • 展示室03
  • 模型16
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  • 模型19
  • 模型20
  • 模型21

 

石上純也―FREEING ARCHITECTURE

会 期:2018年3月30日(金)〜6月10日(日)

会 場:カルティエ現代美術財団

住 所:261 Boulevard Raspail, 75014 Paris, France

開館時間:11:00〜20:00(火曜日〜22:00)

休館日:月曜日

https://www.fondationcartier.com/en/exhibitions/junya-ishigami