北鎌倉駅から徒歩20分、約50年前に造成されたニュータウンに建つ自邸である。雛壇状の敷地は、各住戸が南側に庭を持つよう千鳥状に区画され、放射状の街路が縫っている。
これから50年住む家を、ひとつの考え方が支配し続けてよいのか。その問いから、複数の形式を重ねて設計を始めた。与条件から形式を導き、その完遂によって全体を統合するのではなく、まず形式を置き、生活や雨仕舞い、周辺環境といった条件によって少しずつ崩していく。
形式は、方形、門型、段床、入れ子、三廊式、中廊下式、スプリットの7つ。選択や数に根拠はないが、目的はある。全体を「そのとき空間を支配しているもの」と定義するなら、それを絶え間なく交代させることである。
外部では、スプリットと方形の重なりで外壁が六角形となる一方、屋根は谷樋を避けて五角形となる。南面の日射制御のため、方形の平面位置がずれ、形式の純粋さは崩れていく。内部では、崩れながら残った形式が前景化し、後景化する。
垂れ壁に体を挟まれ、向きを変えると視界の上半分が覆われる。見上げれば屋根の稜線が切られ、階段を登れば頭が垂れ壁に近づく。柱が2本現れる。1本は独立し、もう1本は壁にめり込み、いずれも平面に対して45度振れて稜線に乗る。段差に従って垂れ壁が下がる。頭上では五角形に崩れた方形の稜線が一点に集まり、体を挟まれたまま、視線は南の庭に抜ける。入れ子はどこにも見当たらない。
(立石遼太郎/立石遼太郎建築設計事務所)
■建築概要
所在地:神奈川県鎌倉市
主要用途:専用住宅
構造:木造
階数:地上 1 階(平屋)
敷地面積:336.14 ㎡
建築面積:106.01 ㎡
延床面積:98.93 ㎡
設計:立石遼太郎
構造設計:yasuhirokanada STRUCTURE 金田泰裕
施工:有限会社コボットハウス
写真:
3,7,8,9,10,11,12 © Shin Yamane
1,2,5,6 © Yutaro Tomii
4,13 Photo: Masafumi Tsuji /
Commissioned by Shinkenchiku-sha Co., Ltd.

立石遼太郎(たていし りょうたろう)
■経歴
- 1987
- 大阪府生まれ
- 2012
- 武蔵野美術大学造形学部建築学科 卒業
- 2013
- Akademie der bildenden Künste Wien 留学
- 2015
- 東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻 修了
- 2015-2025
- 設計事務所 勤務
- 2025
- 立石遼太郎建築設計事務所 設立
立石遼太郎建築設計事務所
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