杉の大径木材をつかった旗竿地の住宅
旗竿敷地に建つ木造住宅。設計を開始した 2022 年は Covid-19 とウクライナ戦争の影響による木材価格の高騰、いわゆるウッドショックの真っ只中で、材料調達からデザインをはじめる必要があると感じた。そこで思い浮かんだのが、行き場を失った「大径木」の問題である。現在、太い丸太は細い丸太よりも単価が低い。長年かけて育てた木が安く売られ、細切れになって使われる状況をやるせなく思う林業関係者も多いという。ならば、大径木を調達し、安価かつ表情豊かな家を建てたいと考えた。
まずは「だら挽き」と呼ばれる単純な製材方法によって直径 50〜60cm の杉丸太を短冊状にスライスする。歩留まりを上げるため、耳も薄皮も残したままだ。こうしてできた厚さ 105mm と70mm の挽板を柱梁にすれば、仕上げを兼ねる「杉板挽き放し構造」が出来あがる。端材は階段や家具の材料として徹底的に使い切った。
平面計画は挽板構造のアイデアと敷地条件から半ば自動的に導かれた。整形部分の 1 階にダイニングキッチンと仕事場を、2 階に居間・寝室・子ども室を配置。子ども室は可動棚で仕切り、ライフステージの変化に対応する計画とした。路地の空中にはウォークインクローゼット(WIC)を浮かべ、先端部に街路を眺める書斎を設けた。WIC 下部は雨に濡れないアプローチとなり、木造のピロティ柱が室内に広がる木質空間をほのめかす。このように路地に浴室・収納を集約することで、整形部の外周壁はモノから解放され、挽板の自然な表情が活きた。
(岩元真明+千種成顕/ICADA)
■建築概要
所在地:埼玉県さいたま市
用途:住宅
設計・監理:ICADA(担当:岩元真明、千種成顕)
構造設計:Graph Studio(担当:荒木美香、氏岡啓威)
環境エンジニアリング:スタジオノラ
(担当:谷口景一朗、藤村真喜)
施工:榊住建
規模:地上 2 階
構造:木造
敷地面積:132.37m²
延床面積:112.98m²
竣工:2024 年 3 月
写真:表恒匡(1~11)、岩元真明(12)

岩元真明(いわもと まさあき)
■経歴(受賞歴)
- 1982
- 東京都生まれ
- 2005
- 東京大学工学部建築学科 卒業
- 2008
- 同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了
一級建築士事務所㈱難波和彦・界工作舎 - 2011
- Vo Trong Nghia Architects パートナー
- 2015
- 首都大学東京都市環境学部建築都市コース特任助教
ICADA 共同設立 - 2016
- 九州大学大学院芸術工学研究院助教
- 2024
- 同大学院芸術工学研究院准教授
- 現在
- 九州大学准教授
ICADA㈱一級建築士事務所共同主宰

千種成顕(ちぐさ なりあき)
ICADA(株)一級建築士事務所共同主宰
- 1982
- 福岡県生まれ
- 2005
- 横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒業
- 2008
- 東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻修士課程修了
- 2009
- NAP 建築設計事務所
- 2012
- 東京藝術大学先端芸術表現科修了
- 2015
- ICADA 共同設立
- 現在
- ICADA㈱一級建築士事務所共同主宰
ICADA(イカダ)
Website:http://icada.asia/wp/



















