架構の順序/「家」と「工場」の振幅
大小の製陶工場・家屋が混在する地域に計画した、この街で幼少から育った若い夫婦のための住宅である。古家が解体された400㎡強の更地に、周囲よりとても小さな100㎡弱の住まいをつくりたい、という与件であった。「もともとあるブロック塀」「家的な母屋」「工場的に最後に足された下屋」という3つのかたち、順序を仮定し、それらを行き来する構成で、この街の風景と時間に応答することを試みた。3要素の順序立ては、間取りの与件や「新築」の行為からすればフィクションであるが、しかし外部との関係性においてリアリティをもつと考えた。この枠組みをまず信頼したうえで、フィクションとリアル、あるいは抽象と具体とを行き来しながら、平面、構造、納まりを詰めていった。そのように立ち現れた住宅が、見た目の開放性を超え風景と接続する拠り所となって、街の変化も家族の変化も受け止めながら、家族の暮らしを支え続けてほしいと思う。
■建築概要
          所在地:岐阜県多治見市
          主要用途:住宅
          設計:伊藤維建築設計事務所 
          構造:yasuhirokaneda STRUCTURE
          施工:トコロ
          構造・構法:木造軸組工法
          規模:地上2階 
          敷地面積:419.22㎡
          建築面積:62.45㎡
          延床面積:97.98㎡
          完成年月:2024年1月

伊藤 維(Ito Tamotsu)
            ■経歴
- 1985
- 岐阜県生まれ
- 2008
- 東京大学工学部建築学科卒業
- 2008-2013
- RFA/シーラカンスK&H
- 2013
- 伊藤維建築設計事務所設立
- 2016
- ハーバード大学デザイン大学院 M.Arch Ⅱ 修了
- 2017-2020
- スイス連邦工科大学チューリッヒ校 助手
- 2020
- 帰国・事務所活動本格化
- 現在
- 名古屋造形大学准教授
伊藤維建築設計事務所
            https://www.tamotsuito.com/

 
            














 







