KENCHIKUさん

H邸

設計:德野由美子/德野由美子建築設計事務所
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美しい瀬戸内海に浮かぶ島の丘の上で、築48年の平屋のリノベーションを計画した。

南側に大きな開口部と縁側があり、縁側や庭から海まで続く丘の下を一望できるとても眺めの良い場所にあるのが魅力的な家だ。

 

クライアントは都心から島へ移住し、リモートワークをしながらこの家で暮らすことが想定された。また、家の一部を民泊として使いたいという希望があった。老朽化で不具合のある箇所の修繕をしつつ、家全体を「主に家族が長い時間過ごす空間となる場所」と「来客者も使うゲストルームや水回り」の2つのグループの集合として考えた。

 

前者は、新旧の調和を図りながら、室内外の境を超えて空間の広がりを感じながら生活する大きな居間空間を目指した。床の仕上げを家の新築時にも流通していたような濃い色のフローリングで統一した。既存の和室や押入など空間を不透明に仕切っていた襖や建具は撤去し、柔らかく光を通しながら空間を作っていたカタガラスの間仕切り引戸や障子を修繕しながら残した。

 

後者は、前者と対照的に明るい色の床の仕上げとし、壁や天井はシナベニヤを貼り、その上から島の豊かな自然やアートのある環境を想起させるような鮮やかな色で塗装した。各所の仕上げの色彩は非日常的でありながら、過去から引き継がれた家の仕上げと混在し、どこかで見たような懐かしさも感じる。ゲストルームの外壁の開口部は外部環境により開くことを意図し、できるかぎり大きくした。

 

建物南面と東面のゲストルームの周りについては、開口部の古いサッシュやガラスの新調に伴い、島の民家に以前から多く使われている焼杉で外壁の仕上げを貼り替えた。

新旧の空間要素の同居と、土地の風土との緩やかなつながりが、そこでの新しい暮らしの価値となることを期待している。

(德野由美子)

 

■建築概要
所在地:香川県直島町
計画種別:一戸建ての住宅のリノベーション
用途:住居(一部民泊)
設計:德野由美子建築設計事務所
  ; /德野由美子、樋渡彩華、岡﨑 絢
施工:ARTISAN/豊田郁美
構造:木造
延床面積:79.47㎡
設計期間:2023年9月~2024年3月
工事期間:2024年4月~2024年8月
竣工:2024年8月
写真:鈴木悠生

 

■経歴

德野由美子 (Yumiko Tokuno)

建築家

 

1983
福岡県生まれ
2010
横浜国立大学大学院工学府Y-GSA 修了
2010
西沢立衛建築設計事務所 入社 (-2019)
2019
徳野由美子建築設計事務所 設立
2022-
工学院大学建築学部非常勤講師
2022-
東京電機大学理工学部非常勤講師
2023-
武蔵野大学工学部非常勤講師

 

德野由美子建築設計事務所
WEB:https://yumikotokuno.com/
instagram:https://www.instagram.com/yumikotokunoarchitectureoffice/
〒135-0016
東京都江東区東陽5丁目22-12河合ビル3F
Email:yumiko@yumikotokuno.com
Tel:03-6280-4636

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