天覧山の麓に建つアウトドア好き家族のための住宅。
設計当初、クライアントの「アウトドアの醍醐味は、大自然の中であえて少ない道具で不自由を楽しむこと。不自由であればあるほど自由になっていく。」という言葉がとても印象的だった。この言葉に影響を受け、日本の在来木造による「九間」を立体的に組み上げ、クライアント自らが更新できる家を提案した。
九間は室町時代に成立した日本の木造住宅平面の基本とされ、人が集まって楽しい、心地よいとされる三間四方の部屋の広さである。また、日本の伝統的な在来木造のメリットは、交換可能なオープンシステムにあり、将来的な増改築のしやすさやDIYが容易なことも挙げられる。
竣工した翌年には、ボルダリングウォールが設置され壁を登って二階に上がれるようになっていた。梁はハンモックやブランコが掛かり、庭や遠くの山々を眺めながら遊べる場所になっていた。庭はウッドデッキや薪棚、畑、鉄棒、子どもの遊び場が増えていたりと、ありとあらゆる場所が見事に更新され、豊かな自然の中で家族が楽しそうに暮らしていた。
人が住まいを更新し、住まいが人をより自由にさせているのかもしれない。
今後どのような住まいと家族になっているのかますます楽しみである。
■建築概要
          所在地:埼玉県飯能市
          用途:専用住宅
          設計:山野井靖建築事務所
             担当/山野井靖・若杉賢一・中村有希
          構造:小山直丈構造設計事務所
          施工:シグマ建設 担当/福井良太
          構造:木造軸組工法
          階数:地上2階建
          敷地面積:215.65㎡
          延床面積:94.80㎡
          竣工年月:2017年2月
          イラスト:オノタツヤ
          写真:堀田浩平 

■経歴
            山野井靖(やまのいやすし)
- 1982
 - 長野県生まれ
 - 2006
 - 明治大学理工学部建築学科 卒業
 - 2007
 - 藤本壮介建築設計事務所 入所
 - 2015
 - SPEACを経て
 - 2016
 - 一級建築士事務所山野井靖建築事務所 設立
 - 2023
 - 株式会社山野井靖建築事務所に法人化
 
山野井靖建築事務所
            HP:https://www.yyamanoi.com
            Instagram:https://www.instagram.com/yasushi_yamanoi_architects/















