広島市内北部に建つ日本家屋の改修計画。
奥行きのある庭園が交通量の多い道路の喧騒を和らげており、敷地内は静謐な空気で満たされている。家屋はL型平面であり、玄関を中心として東棟と西棟に分かれる。
東棟は既存の構成を可能な限り残し、老朽化した仕上げ材は新しく更新した。二間続きの和室の片方を寝室、もう一方を客室とし、無窓となる居室を解消するためインナーテラスを配置して彩光と通風を確保した。
西棟は大きく構成を変えて、既存の屋根勾配に合わせた高さのある主室を設えた。主室は庭園に向かって大きく開き、他室の開口と併せて風を導く。既存の丸太梁は新規の梁と併せて現し、新たに設えた紅紫の煉瓦壁、珪藻土の壁との調和を図る。
住み継ぐための改修ということは、構造と熱環境を現代の基準値に満たしながら新たな息吹を与え、新旧の調和を図ることである。その実直で慎ましい所作が、次の世代まで受け継がれる建築になると考えている。
■建築概要
所在地:広島県広島市
主要用途:住宅
主体構造:規模:木造平屋建て
敷地面積:587.80㎡
建築面積:230.70㎡
延床面積:180.04㎡
設計・監理:小松隼人建築設計事務所
構造:堀江建築設計事務所
施工:段原建設
写真:矢野紀行

■経歴
小松 隼人
- 1979
- 広島市生まれ
- 2002
- 立命館大学 理工学部 土木工学科 環境デザインINS 卒業
- 2004
- 立命館大学大学院 理工学研究科環境社会工学科 博士前期課程 修了
- 2004-2008
- SUPPOSE DESIGN OFFICE
- 2009
- 小松隼人建築設計事務所 設立
- 2018
- 株式会社小松隼人建築設計事務所に改組
- 2021-
- 広島工業大学 非常勤講師
小松隼人建築設計事務所
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