敷地は南に向かって緩やかに下る斜面に位置し、クリやヤマザクラの大木が枝をのびのびと広げながら、適度な距離で譲り合って共存している。
そこで、森の秩序を乱さぬよう既存樹をほぼ残し、樹々の間を縫うように、くの字に折れ曲がった平面を配置して、南斜面の明るい森に向けて伸びやかに広がる構成を提案した。
室内と外との関係がなるべく等しくなるように、壁面と等分に近くなるような開口部を設けることで、室内と窓の外の森を交互に視線が縫うようになり、森の中で暮らしている感覚を強める。
また、2階の傾斜天井には、半分光沢のあるイタリア漆喰を用いて目地なく仕上げた。樹々の樹形がおぼろげに天井に反射して映ったり消えたりして、室内にいながら木陰にいるような感覚を覚える。
ここでの生活は、森と室内の相互作用による複合的な自然からの様々な恵みを享受し、都会の人工的な環境で暗に受けているストレスをマッサージするように弛緩して行く。
■建築概要
所在地:長野県軽井沢町
主要用途:別荘
家族構成:夫婦+子供1人
設計
設計者事務所名:セルスペース
担当/早草 睦惠 廣瀬 貴之
構造:MID研究所 担当/加藤 征寛 吉村 貴司
施工
会社名:津久井工務店 担当/小針秀喜 戸塚亮
設備:アクアテック 担当/上原 聡
電気:小野里電気 担当/谷 富夫
木工事:大工 津久井工務店 担当/秋山哲也
左官工事:永井工業 担当/剣持正之
家具工事:ハルナ工芸 担当/松本貴宏
塗装工事:田村塗装店 担当/鈴木功一
構造・構法
主体構造・構法:木造軸組構法
基礎:直接基礎

■経歴
早草 睦惠
- 1963
- 東京都生まれ
- 1986
- 東京大学工学部建築学科卒業
- 1986-1988
- 岡設計
- 1988-1991
- 日本設計
- 1991
- セルスペース設立
■受賞
- 2002
- 「元麻布の家」(本誌0205)
グッドデザイン賞 受賞 - 2006
- 「襲の家」(本誌0407)でAmerican Wood Design Awards 2006 Honor Awards
- 2011
- 台湾 新北市現代美術館国際設計競技 Merit Award
- 2015
- 「揚羽の家」(本誌1511)で中部建築賞 受賞
- 2019
- 「L型キャンチレバーの家」(本誌1809)で
モダンリビング大賞 受賞
セルスペース
〒146-0085 東京都大田区久が原3-12-3
Tel:03-5748-1011 Fax:03-5748-1012
Email:mutsu@c.email.ne.jp
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