小さな建築による新しい風景と公共性
本バス待合所・観光案内所は、山中湖畔の回遊性向上を目指した地域拠点であり、山中湖村、富士急行、東京大学と異分野の専門家が連携した、産官学が連携したまちづくりの象徴的なプロジェクトです。かつての平野地区の中心をこの場所に取り戻すために、風景に内在する「ヒト・モノ・コト」の関係を再編集し、歴史と未来が連続する新しい風景の構築を目指しました。
富士山とケヤキの眺望軸、周辺建物の棟方向、南北広場の導線という、遠・中・近景を縫い合わせる、基礎・柱・横架材による木軸三角グリッドを設定しました。このグリッドは増改築のプラットフォームとして、住民自身による気軽な空間編集を可能にします。また、気候やイベントなどに応じた様々な利用状況を大らかに受け止めるため、屋外/庇下/半屋内/屋内に開閉感の異なる場所を連続させることで、外気と空調のグラデーショナルな温熱環境を実現しています。標高約1,000mの村では、特に夏と冬で利用者数が大きく変化するので、これに応答して活動範囲が大きく伸び縮みする建築と環境のあるべき応答関係をつくっています。
■建築概要
建築設計:SUGAWARADAISUKE建築事務所
(担当:菅原大輔、上赤坂典幸/設計、中澤宏行/監理)
構造:TECTONICA INC.
(担当:鈴木芳典、五十嵐日奈子)
設備:ZO設計室
(担当:柿沼整三)
照明計画:灯デザイン(早川亜紀)
外構:基本設計 SUGAWARADAISUKE建築事務所
(担当:菅原大輔、上赤坂典幸)
実施設計 馬場設計
(担当:髙相正樹)
広場全体監修:山中湖村デザイン戦略会議
広場全体基本設計およびデザイン監理:
イー・エー・ユー、文化財保存計画協会、アルメックVPI
施工:富士急建設株式会社
写真:エビハラカズミ/GlassEye Inc.
場所:山梨、日本
設計期間: 2015年3月-2017年2月
工事期間: 2017年9月-2018年3月
■経歴
菅原 大輔
- 1977
- 東京に生まれる
- 2000
- 日本大学理工学部建築学科 卒業
- 2003
- 早稲田大学大学院理工学研究科修士課程
修了 - 2004
- 一級建築士取得
(一級建築士 : 登録312817号)
C+A tokyo / シーラカンスアンド・アソシエイツ - 2004-05
- Jakob+Macfarlane(フランス)
- 2005-07
- Shigeru Ban architect Europe(フランス)
- 2007-
- SUGAWARADAISUKEを設立
- 2011-16
- 被災地支援団体陸前高田燈すプロジェクト:りく×トモ設立運営メンバー
- 2013-19
- 日本大学理工学部非常勤講師
- 2015-16
- GROUNDSCAPEpaper編集長
- 2016-19
- 東洋大学理工学部非常勤講師
早稲田大学創造理工研究科博士後期課程(研究指導修了退学) - 2017-
- 株式会社SUGAWARADAISUKE建築事務所に改編
山梨県景観アドバイザー - 2018-
- 法政大学デザイン工学部非常勤講師
- 2019-
- 港区景観アドバイザー
工学院大学建築学部非常勤講師 - 2020-
- 渋谷区景観アドバイザー
明治大学理工学部非常勤講師 - 2021-
- 調布市まちづくりプロデューサー
- 2021-
- 調布市景観観察審議委員
- 2021-
- 博士(建築学)取得 / 早稲田大学大学院創造理工学研究科にて
- 2022-
- 東京電機大学 未来科学部 建築学科
准教授