KENCHIKUさん

石切回廊

設計: 仙入洋/株式会社 遊墨設計 +脇田祥尚/近畿大学 建築学部
Now Loading...

Loading...

東大阪市の石切劔箭神社前、石切参道商店街の西側起点に商業施設と集会所からなる地域活動の拠点を新築した。3年前に商店街を含めた地域活性化への地元からの要請に応える形で始動した本計画は、神社や商店街を含めた地域を巻き込みながら、「石切のわ」という任意団体を立ち上げ、地元の大学と建築士が協働で企画・設計から運営にまで携わっている。本施設は地域活性化プロジェクトのスタート事業であり、商店街沿いの空き店舗や空地を活用した計画を並行して進めている。本施設が地域の有意義な活動拠点兼にぎわい広場として幅広く利活用され、末永く、本施設と共に地域が成長する姿に寄り添いたい。

 

敷地は商店街に面する幅に対して奥行きが深く、高低差2mほどの傾斜ある角地で、その特性を活かす計画とした。商店街の店並みを連続させつつ、商店街起点となる敷地隅部に庭と芝生広場を配し、商店街と直行する奥行方向を新しい正面とした。緑豊かな庭・広場と建物基壇を構成する石垣が相まって、豊かで落ち着きのあるアプローチ空間を生み出している。生駒山を背景とする景観と商店街のスケールに配慮し、建物を4分節し、高さを変えながら連なる勾配屋根とした。高さの異なる勾配屋根のすき間にトップサイドライトを配し、室内にやさしい光を取り込んでいる。建物は西側に全面的に開放され、アプローチ空間と庭が一体化している。

 

石切回廊という名の通り、高低差のある内外を巡る回遊性が本施設を特徴づける。回廊を巡りながら、6つの店舗だけでなく、庭(緑)、スロープ、天窓、2階集会所への出会いの体験が切り替わる。内部天井は木製梁が規則正しく並び、高さを変えながら変化ある空間を生み出している。内外を貫く回廊沿いには共用で使えるフリースペースを充分確保し、西側のにぎわい広場と併せ、様々な活動が期待できる。

 

与条件から建築を創出するだけでなく、与条件を地域と共に考え、竣工後もそのあり方を地域と共に模索し続けることに、建築士の職能の新しい可能性を感じている。施設運営の一環として地域のにぎわい創出に寄与すべく、地域住民向けのワークショップも実施している。

■建築概要
名称:石切回廊
所在:東大阪市東石切町1丁目5番24号
用途:商業施設(飲食店・物販店)/1階+集会所/2階
敷地:899.74m²
構造:木造2階建て,準耐火建築物
面積:延床面積642.61m²/1F497.69m²,2F144.92m²
   建築面積558.08m²
高さ:最高高さ8.892m
企画・設計:2019年6月~2021年6月
工期:2021年7月~2022年6月末
施工:眞正工業(株)
木材:梁(最大120×450)米松/構造用集成材EW
   フレーム・ルーバー桧
   カウンター・ベンチ栗
   サインパイン集成材
   家具ナラ
木部塗装:屋外大阪ガスケミカルキシラデコール
   /屋内大谷塗料バトン
写真家名:野口兼史

 

■経歴
仙入 洋(株式会社遊墨設計代表取締役)

1971
東大阪市生まれ
1997
京都大学大学院修士課程修了
株式会社 東畑建築事務所勤務
2002
遊墨設計設立
2010
大阪産業大学デザイン工学部非常勤講師
2015
株式会社 遊墨設計設立(法人化)
2016
近畿大学建築学部非常勤講師
2022
「石切回廊」
大阪府建築士事務所協会賞2022
大阪府知事賞 受賞

 

■経歴
脇田 祥尚(近畿大学建築学部教授)

1969
広島市生まれ
1993
京都大学大学院修士課程修了
2002
京都大学博士(工学)学位取得
2007
近畿大学理工学部准教授
2011
近畿大学建築学部教授
2022
「石切回廊」
大阪府建築士事務所協会賞2022
大阪府知事賞 受賞

 

 

 

 

Cookie(クッキー)
当社のウェブサイトは、利便性、品質維持・向上を目的に、Cookie を使用しております。詳しくはクッキー使用についてをご覧ください。
Cookie の利用に同意頂ける場合は、「同意する」ボタンを押してください。同意頂けない場合は、ブラウザを閉じて閲覧を中止してください。