敷地は広島県三原市の山々に囲まれた田園風景の広がる場所にある。クライアントは、関東から実家近くのこの敷地に帰ってくること決めた5人家族である。設計に入る前に、この敷地を訪れた時に緑豊かな田園風景と、管理されたあぜ道の緑が美しく、この緑に浮かぶような端正なプロポーションを持つ住宅が思い浮かんだ。
クライアントからの要望としては、この自然を生かし家族とともに成長できる暮らしを求められた。兄弟家族との集まりも多く、外での食事や大人数が集まってもゆったりと出来るようにくつろぎの場を持つ住宅を考えた。
ゆったりとした敷地であるため住宅の配置計画を家庭菜園スペースとゲストルーム棟(未定)が建つスペースと共に慎重に検討を行った。どこの方位を見ても美しい風景が広がる敷地であるため、くつろぎの場であるリビングは慎重に配置とボリューム・開口部の位置を計画した。
LDK は一室空間とし、キッチン・ダイニングには東側の山にある緑が、リビングでは同じ東側の山の緑と南・西側に広がる田園風景が眺められるように開口を設計した。ダイニングの開口部面にカウンターを配置し、子供たちが自然光と緑を眺めながら勉強が出来るようにしている。平屋建ての単調な空間を変化あるものにするためリビングの床レベルは、一段下げている。その床には鉄平石を使用し、石の採掘している山へクライアント共に向かい使用材料を選んだ。リビングの西側に配置したデッキには、リビングの大開口から直接出られるようにし、車いすを使用しているご両親が段差のある玄関からではなく道路から、デッキに設けたスロープを通りリビングへ出入りできるようにしている。
外観は、端正な寄棟のガルバニウム鋼板屋根とし、外壁は米杉材の板張りとした。外壁は、経年変化により次第にシルバーグレーへと変化し、この緑豊かな環境に馴染む様にしている。
この住宅に家族や近隣の方が多く集まり楽しく過ごす暮らしが、この緑豊かな環境の一部となり風景として根付いてくれることを期待している。
■建築概要
主要構造:木造/SE 構法 平屋建て
延べ床面積:127.70 ㎡
設計:藤原昌彦(バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所)
構造設計:株式会社NCN
家具:アルフレックス(ソファー)・ハオアンドメイ(傍島浩美)
設計期間:2018年4月~2019年10月
施工期間:2019年4月~2020年6月
写真:笹倉洋平/笹の倉舎
■経歴
藤原昌彦
- 1975
- 岡山県生まれ
- 2006
- 岡山県立倉敷天城高等学校 卒業
- 2008
-
香川職業訓練短期大学校建築課程
卒業 - 2012
- バウムスタイルアーキテクト設立
- 2014
- 岡山市景観街づくり賞
- 「小さな森のお菓子工房のある家」
- 2016
- パッシブデザインコンペ
- 「二つ庭の家」 横内賞
- 2019
-
タニタハウジングウェア主催
「屋根のある建築コンテスト」 - 「牛窓の家」 最優秀賞
- 「南区の離れ」 優秀賞
- 2021
- 岡山市景観まちづくり賞「南区の離れ」
株式会社バウムスタイルアーキテクト
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