サウナの魅力は、カンカンに暖まることのできるサウナ空間そのものに加えて、水風呂に入ったあとの、自然の中で過ごす外気浴の素晴らしさが大きいと思っています。その意味で、すぐ目の前に清流が流れる古い蔵をサウナの候補地として見に行ったとき、ここなら最高のサウナがつくれると確信しました。このポテンシャルを最大限に生かし、川との繋がりと外気浴の時間がポイントになるように改修の設計をしました。
清流の目の前に建つ蔵を改修して、1階には前室を通って入るサウナ室、2階には内気浴スペースをつくりました。川沿いに広い外気浴デッキをつくり、デッキが1階内部空間に貫入してくるようにしています。2階もデッキの上は吹き抜けにすることで、内気浴スペースからも小川のせせらぎを感じ、外の空気をちょうどよく取り込むことができます。
サウナ室は、元が蔵であるというイメージから木の仕上げではなく漆喰の仕上げにしました。洞窟のような雰囲気にするため、角のない大きなアールを取った空間とし、その下地にコンクリートブロックを使うことで、しっかりと蓄熱を取れる仕様になっています。断熱+蓄熱の効果は絶大で、薪は最低限の消費で済み、次の日でも40-50度程度の温度を保っています。
アツアツのサウナに入り、冷たい川にダイブしたあと、川の音を聴きながらゆっくりと自然の中で時間を過ごす。最高のサウナができあがったと思います。
■建築概要
所在地:茨城県高萩市下君田741
延床面積:36.95㎡
用途:サウナ
施主:山形実和+岸風花
プロデュース:野田クラクションベベ―
設計・監理:MIGRANT
施工:鈴勇
竣工:2021年8月
PHOTO:TSUGURI YOSHIDA
■経歴
島田 真弓
- 1982
- 東京都生まれ
- 2006
- 早稲田大学 理工学部建築学科 卒業
- 2008
- 早稲田大学大学院 建築学専攻修士課程
修了 - 2008-2009
- 日建設計
- 2011-2018
- 手塚建築研究所
- 2018-
- MIGRANT 共同主宰
寺田 和彦
- 1984
- 奈良県生まれ
- 2007
- 京都大学 工学部建築学科 卒業
- 2009
- 京都大学大学院 建築学専攻修士課程 修了
- 2009-2018
- 手塚建築研究所
- 2018-
- MIGRANT 共同主宰
MIGRANT/島田真弓+寺田和彦
一級建築士事務所 長野県知事登録(松本)
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