旭硝子株式会社は、京橋にあるAGC studio内に、世界初のサスペンション構造によるガラスのらせん階段「STEPS IN THE AIR」を竣工させた。
AGC studioは2011年に京橋にオープンした同社製品の機能体感スペースで、年間およそ15,000人の来場者がある。「STEPS IN THE AIR」の設置はAGC studioオープン時より計画されていたが、計画途中に東日本大震災を経験したことにより、予定よりも長い時間をかけて安全性の再確認を行い完成に至った。
ガラスの階段は多くの施設で採用されているが、その構造は階段側面のガラス板で支えるものが中心だった。ガラス階段の透明感を一層高める方法としては、側面のガラス板を省略しガラスの段板のみとする方法が考えられる。しかしガラスの段板を固定することが困難なため、その実現は見送られていた。
今回は意匠設計を太田浩史氏(東京大学生産技術研・講師/デザインヌーブ)、構造設計を佐藤淳氏(東京大学・特任准教授/佐藤淳構造設計事務所)が担当。歩行者が恐怖を感じないか、また大地震時に大きく変形しないかが大きな課題となったという。綿密な構造計算と実物大モデルでの実験を行い、ワイヤーで吊り下げたガラス段板を独立して固定することに成功した。通常の歩行時にほとんど揺れを感じないことはもちろん、最大級の地震が発生した際も、8mの構造体に対し5㎝の揺れに抑えられる設計となっている。
最大の魅力は、空中を散歩しているかのような不思議な浮遊感だ。光を良く通し強い構造材であるガラスの特長を、最大限に活かした階段が誕生した。
また、曲面状の階段の手すりには、化学強化特殊ガラス「レオフレックス」を建材用途として初めて採用。薄くても強く、割れにくいという特性が、透明で軽量かつ安全な手すりの実現を可能にした。0.56㎜の薄いガラスを2枚使った合わせガラスであるため、ガラスをあらかじめ曲げ加工せずに、現場で曲げながら設置する方法が採用されている。
旭硝子株式会社
http://www.agc.com/index2.html
AGC studio
http://www.agcstudio.jp/
株式会社デザインヌーブ
http://neuob.com/
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