課 題

野生のガラス

ツルツルピカピカで均質。


これは現代社会において、一般的に想起されるガラスのイメージだろう。しかし、そうではないガラスの新しい空間を構想することはできないか?


今回のテーマは、以下のような審査員の議論をもとに決定した。例えば、工業製品のガラスは、鉄やコンクリートと同様、近現代の建築を構成する基本的な素材だが、地域と分断された素材である。だが、近年、地域のなかでマテリアルを循環させることも注目されている。ヴァナキュラーなガラスというべきか。あるいは、ガラスはコントロールできるものの象徴だが、コロナ禍において露呈したのは、コントロールできない状況と、われわれはどう向き合うか、という問題であり、国や地域によってそれぞれの対応が違うことだ った。またリモート化によるコミュニケーションが普及したことで、画一的な場ではなく、あちこちでカスタマイズされた固有の場が重要になっている。


すなわち、中央のコントロールから、こぼれ落ちるもの。ローカライズに関わるこれらの考え方を縫合する言葉として、「野生のガラス」が選ばれた。一見、相容れない「野生」と「ガラス」が結びつくことによって、ほかにも様々な読みが可能なキーワードになるだろう。なお、提案はプロダクトというよりは、空間の可能性を提示して欲しい。そして鋭く批評的かつポジティブな作品を期待している。