課題文

課題 しなやかで強い社会の建築とガラス

ガラスには社会のイメージ、あるいは人の関係性が投影されている。
例えば、透明なガラスの公共建築は、社会に開かれていることや、包み隠すことがない政治を意味したり、逆にすべてが見えてしまう監視社会を想起させることがある。かつてパウル・シェーアバルトは、ブルーノ・タウトの建築に触発されて、SF的な小説『ガラス建築』(1914)を執筆した。この物語では、ガラスが閉ざされた空間を変え、新しい社会をもたらす、輝くガラスのユートピアが色鮮やかに描かれている。
では、21世紀はどのようなイメージがありうるだろうか。東日本大震災を経験したり、テロの恐怖にさらされる社会は、柔らかさを失い、硬直化したマッチョな強さに走りがちである。だが、そうして単純に閉じてしまうのではなく、多様性を受け止める、しなやかで強い社会が望ましいのではないだろうか。現在、ガラスの素材も従来と同じままではなく、様々に進化している。例えば、日本電気硝子は、簡単に曲げることができるくらい超薄板のガラスで樹脂を挟み、異なる素材を組み合わせることによって、軽くて強度のある新製品を開発した。こうした素材も社会を変える、ひとつのきっかけになるだろう。
今回の空間デザイン・コンペティションでは、ガラスの可能性を生かしながら、しなやかで強い社会の建築をどのように構想できるかを提示してほしい。

インタビュー動画
「しなやかで強い社会の建築とガラス」について

主催 日本電気硝子株式会社
共催 電気硝子建材株式会社